2016/09/14

短時間焙煎への挑戦  Ⅱ

前回は経験則として、一定容量の焙煎機で、多く投入すれば焙煎時間が長くなり、少なく投入すれば焙煎時間は短くなるという結論を得ました。

この結論は、焙煎を少しかじれば、イメージとして想像できることですが、それを実際に焙煎とカッピングを繰り返して導き出したわけです。

たまたま5K釜であったわけですが、それぞれの投入量での妥当な焙煎時間が、経験則から具体的に導き出されました。

ただそれは、ランニングコストなどの経営指数が背景にあって、あくまでも妥協したカッピングであったものでした。

しかし、妥協せずに、投入量を減らして、短時間化を突き詰めていくと、ある時間帯で劇的にカップは向上します。

シティローストでおよそ、13分~14分に至るペースになると、抜けるような明るさーブライト感が出てきます。フレバーも輪郭がはっきりとしてきて、その豆のテロワールが把握できてきます。

そして、何よりもマウスフィールの向上がなされます。奥行きがあって立体感があるストラクチャリーが出てきます。

ひと皮もふた皮もむけたーーーという表現のごとく、洗練されたカップになります。

《前回から今回にかけては、短時間焙煎を導入するための方法論です。今まで“低温短時間焙煎”と“高温短時間焙煎(一般的な短時間焙煎)”をごちゃまぜに語っていたので、多くの読者の方々に混乱をきたしていたようです。

まず、一般的な短時間焙煎を説明して、そのあとに低温短時間焙煎を説明していきます。》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ある時ひょんなきっかけから、過去の膨大な焙煎記録の中から、短時間焙煎にチャレンジしていたころの記録群を見つけ出しました。

その中から偶然に、勉強会で恩師にお褒めをいただいたバッチの記録を発見しましたので、そのプロファイルをエクセルに要約します。

「indonesia.xlsx」をダウンロード
 
豆はインドネシア・スマトラのアチェ地方の通称マンデリンで、メルカンタからひっぱてきたものと思います。

焙煎時間は14分でフルシティ、最終の釜出し豆の表面温度は207.5℃になっています。

後半の豆の表面温度と釜の内部温度の記載が若干不備でしたが、できる限り前後の記録から抜けた数値を推測して記入しています。

ガス圧は記録がないのですが、投入から1分30秒前後に至った、豆の表面温度とその時の排気温度の中点は104.4℃と164℃ですが、投入から7分の時点で豆の表面温度166.4℃で、排気温度が204℃に上昇していますから、ある程度の強い火力で進行をさせていると推測できます。
その後、ファーストクラックから釜出しまでは、釜の排気温度を比較的安定させて、緩やかに上昇させています。

次回以降、低温短時間焙煎の詳細を示していきますが、投入からの6~7分後の排気温度と、ファーストクラックから釜出しまでの排気温度が全く違う流れであることがご理解いただけると思います。

それはまさに真逆で、短時間焙煎と低温短時間焙煎の違いが明白となり、そのことがどうカップに影響しているかを解明していきます。
「スイート、クリーン、スパイシー、アーシー、、、」恩師の口から発せられたコメントから、焙煎が出来た!と背筋が震えたことを今も思い出します。

まさにエポックメイクな出来事でありました。

僕も含めて当時のメンバーや、多くのスペシャリティロースターはこの短時間焙煎を習得して、現在にあります。

しかし、いまだ恩師の低温焙煎はその真実の姿を極められていません。
次回以降はその真実のを姿を現して行きます。

次回をご期待ください!

2016/08/02

短時間焙煎への挑戦 Ⅰ

前回は、低温短時間焙煎の全体の流れを鳥瞰しました。

その中で、前半の水抜き工程において、投入量が重要なポイントであったわけですが、今回はその理由を焙煎の経験から考察してみます。

以前スペシャリティコーヒーロースターを目指す勉強会の仲間で、富士ローヤルの5K釜に5kの豆を投入している仲間がいました。

メーカーの公称キャパ、目いっぱいに投入していたわけですが、カッピングと焙煎を繰り返した結果、焙煎のトータルは21分前後になっていたと思います。

これはこれで、当時の5K釜5K投入のベスト焙煎であったと思います。

販売量が爆発的に伸びていった僕たちは、ダイレクト輸入が故に商社ファイナンスに頼れるわけがなく、原材料の生豆の確保に資金繰りがとられ、四苦八苦していました。

そんな状況であれば、販売増に見合った焙煎機の新規購入は無理であり、当面は今の釜で頑張ろう!となるわけです。

ほとんどメンバーは、そんな状況にあって、投入量はできるだけ多く投入して、ランニングコストを抑えることに必死であったわけです。

そういうことから、「もしかしたら投入量を全面的に見直ししなければ、焙煎の核心には迫れないのでは?」と直感していても、投入量は聖域であり、減らすことなどはタブーであったわけです。

また、僕を含めて販売量がまだ少なかった仲間で、5k釜を所有する仲間では、ほぼ3k投入で焙煎のトータルは15~16分前後でした。

カッピングスキルが向上して、焙煎とカッピングを繰り返し、なおかつ勉強会で仲間の豆をカッピングをしながら、お互いの焙煎の工程を整合してきた結果ですから、5k釜で3k投入で15~16分焙煎もベストであったと思います。

(当時は深煎りが主流で、シティからフルシティの焙煎度でした。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5K釜での、5K投入の焙煎時間21分前後と、3K投入の焙煎時間15~16分前後の違いを、今ここで分析したいのですが、何しろ10数年前のことで、おおざっぱなデータしかなく、単純な比較はできません。 

しかし、データーを整理していると、驚くべき結果が出てきました。

それは、ファーストクラック以降の両方の後半が、ほぼ一致しているということでした。

ということは、投入からファーストクラックの差が、そのまま焙煎時間の差になっているということです。

当時は、恩師からー焙煎工程を前後に分けるという新しい焙煎ノウハウー提示された時期と、欧米ロースターの短時間焙煎が伝播してきた時期と重なっていますが、ほぼ全員がまだ従来の自前の焙煎で、カッピングと焙煎を必死に繰り返していた時期でした。

ですから、ここには“水抜き工程”とか“成分進化の工程”というはっきりとした工程意識はないわけですが、便宜的にファーストクラックまでを前半の工程として、それ以降からラストまでを成分進化の工程とすれば、まめの投入量の変化で、水抜けの時間が変化すると捉えてよさそうです。

多く投入すれば、長くかかり、少なければ短くてすむわけです。

これは焙煎とカップを繰り返して、検証してきた結果ですから、妥当な結果だと思います。
もちろん、後半の成分進化の工程が両方とも適正な進行であったことが、大前提にあることはお解かりいただけると思います。

さて、本題はここからです。

当時は上述したように、米国のスペシャルティコーヒーロースターの短時間焙煎が伝播しだした頃で、短時間焙煎へのチャレンジの時期でもありました。

僕の場合、ACEのポール・V・ソンガーさんの焙煎セミナーにヒントを得て、13分の焙煎を目指して、投入量の減量と釜の余熱の関係に没頭していました。

僕はメンバーの中では劣等生で、比較的に注文に追われる環境ではなかったため、投入量を減量(=バッチ数を増加)させても、余裕がありました。

その過程から得た結論は、5K釜では2K以下投入であれば、短時間焙煎が可能になるということを得ていました。

十分な釜の余熱を利用して、2K投入すれば、(適正な火力であれば)およそ1分半でボトムに達して反転します。その後9分でファーストクラックが始まり、13分でフルシティローストの完成です。

3K投入であれば、12分でファーストクラックが始まり、16分でフルシティローストの完成、5K投入であれば、17分でファーストクラックが始まり、21分でフルシティローストの完成でした。

焙煎とカッピングを繰り返して出てき結果からは、投入量を少なくすれば、短時間で水が抜けて短時間焙煎が可能であるということです。

3K投入で、釜の余熱を上げたり、ガス圧を上げたりして9分のファーストクラックを目指しても、上手くいきません。

それらはすべて、過激なカップになり、なんとなく直感として釜の限界を感じます。

強引に余熱や火力で調整しても、素直に豆が反応してくれない事態に直面するからです。
だからこそ、カップを繰り返すことによって、少し時間を長くして、12分前後にクラックが来る頃に落ち着くのです。

ここに釜の容量と投入量で、水がスムースに抜けていく関係があることが分かり、投入量を減量していけば、短時間焙煎が可能となるわけです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

5K釜で5K投入と3K投入、そして2K投入のカップの違いは、それぞれが別個にカップの判断から妥当な範囲として“良し”としたのであったのですが、全体を2K投入のものから比較すると、マウスフィールやアフターにおいて圧倒的な差が出てきます。

特に水抜けに長く時間のかかったものは、ざらついたマウスフィールが目立ちます。

味覚の表現に“雑味”というものがありますが、まさにこれで、最初のインパクトでこれが出てきますが、他にフレバーや甘さのインパクトがよければかき消されてしまう要素でもあります。

特に、冷めてくると良い素材ほど、フレバーの特徴や甘さ、クリーンが際立ってきて、焙煎による“雑味”は後退してきます。良いオイル分が欠点をカバーしてくれる結果、カップは向上してくるわけです。
最初の嫌なインパクトがあっても、最終的には“美味しい”というカップが成立してしまいます。
 
焙煎の欠点をまさに素材がカバーしてしまうわけです。

そして、この現象は、多くの日本のスペシャルティコーヒーロースターに顕著に表れています。

そのほとんどは、大量投入によるカップの欠点(=焙煎の欠点)を認知することが出来なくても、一生懸命にスペシャルティコーヒーを拡販紹介するロースターです。

しかし、大量投入による焙煎の欠点を認知していて、しかも素材の良さがそれをカバーすることも認知している主流のスペシャルティロースターもいます。

いわゆる確信犯で、スペシャルティコーヒーとしての品質維持と、注文をさばかなければならない現状とを、上手く妥協していることが、カップからうかがえます。

ともあれ、焙煎を短時間化することによって、カップは向上します。

そしてその短時間化は、釜の容量から投入量が決定され、投入から9分でファーストクラックを迎えるのが、短時間焙煎のベストと思います。
 

2016/06/30

低温短時間焙煎:その鳥瞰

前回は豆の表面温度の進行ペースを変化させ、そのカップの変化から、最適な豆の表面温度の進行ペースを模索する焙煎の方法論を展開しました。

そのとき焙煎を前半と後半に分け、それぞれの最適な豆の表面温度の進行ペースを模索するのは、前半と後半のそれぞれの段階には目的があって、それを検証したいがためです。

まず前半はきっちりと水が抜けているかどうか?そして後半はきっちりと成分が進化しているかどうか?を検証します。

そもそも、カップによる焙煎の良否の判断は、水が抜けているかどうか?成分進化はできているかどうか?の2項目で判断します。

それは目の前のカップを2項目から判断するのであって、焙煎がどうやってなされたか?は、本来は問題としません。

しかし、素材の良否をカップする本来のカッピングにおいて、有能なカッパーは、その素材の生育から収穫、精製に至るまでの工程のどこに欠陥があるかを、見抜いてしまうように、焙煎の良否のカッピングにおいても、その欠陥が前半にあるのか、後半にあるのか、あるいはその両方にあるのかを見抜きます。

それは、産地に幾度も赴き、その生育、収穫、精製の問題点を探りながら、カップを繰り返すことのよって、カッピングスキルが構築されたからで、焙煎も焙煎とカップを繰り返すことによって、スキルが構築されたからです。

このように、焙煎のカッピングの2項目は焙煎の核心を突くもので、このカッピングコンセプトから焙煎を前後の工程に分けて、前半を水抜き工程とし、後半を成分進化の工程とする焙煎の基本コンセプトが導き出されたわけです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、焙煎を前半と後半に分け、それぞれの段階でカッピングによって、適正な焙煎ペースを導き出す、焙煎の根本原理を明らかにしましたが、それはあたかも2つの林を別々にみているようなもので、いまひとつ釈然としません。

しかし、それは全体としての森の全貌を鳥瞰することによって、初めて理解が出来ます。

全体としての森がどのくらいの規模なのか?その森と2つの林の連関はどうなのか?を理解することによって、焙煎の全貌が明らかになるからです。

森は2つの林からなり、思った以上に全体がコンパクトにまとまっています

森の規模は焙煎のトータル時間を意味しますが、それが短時間であるということです。

焙煎とカップを繰り返していると、短時間になればなるほど(適正な投入量であれば)、フレバーやブライトが輝いてくるからです。

短時間内にコンパクトにまとめ上げるのが上手な焙煎で、具体的にはライトローストからフレンチローストまでの5段階を、およそ10分から14分を経過するのがベストと思います。

森の入り口は、最初の一つ目の林の入り口でもあり、そこをおよそ8分で通り抜けます。

焙煎の前半の水抜き工程は、投入からおよそ8分内に水抜きを終えるのがベストで、投入から6分前後で豆の表面温度が167度の至り、その後2分で豆の表面温度が175度前後に至ると、豆はシュリンクして、匂いの蒸気が飛んで、水抜けのサインを出します。

そして、ここから2番目の林の入り口に入ります。

ここの入り口で、一気に釜の内部温度を上げて、1分後(投入から9分)にクラックが始まり、2分後(投入から10分後)に豆の表面温度が192度前後に至れば、ライトローストができます。

2つ目の林は、連続した5つのブロックに分かれていて、最初のブロックがライトローストで、2番目のブロックがミディアム、3番目がシティ、4番目がフルシティ、5番目がフレンチとなります。

それぞれのブロックは1分で通り抜け、そのたびにおよそ豆の表面温度が5度づつ上昇すると、成分の進化が適正になされるようです。

投入から11分で197度(ミディアム)、12分で202度(シティ)、13分で207度(フルシティ)、14分で212度(フレンチ)といったぐあいでしょうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上記のような焙煎時間と豆の表面温度を、各々各自の焙煎機でトレースするためには、まずもって窯の内部温度をコントロールしながら、正確にトレースしなければなりませんが、うまくトレースできても、それだけではカップがよくなる保証はありません。

それはまず第一に投入量と窯の余熱が、水抜けの良否に大きくかかわっているからです。

そして第二に、通常の焙煎機のカロリーでは後半の進行が、正確にトレースできないからです。

焙煎が複雑になる主因がここあります。



2016/06/07

豆の表面温度による進行管理

852x1280 前回は、豆の表面温度を計測するセンサーの設置位置を特定しました。

より精緻な豆の表面温度を計測することは、焙煎を構築していくための必須の条件です。

そもそも、焙煎の構築は焙煎とカップの検証を繰り返しながら、より高いステージを模索していくことにほかなりません。

それは、豆の表面温度と時間をきっちりと管理して、豆の表面温度の進行=ペースが変化したときに、カップがどう変化したかを検証し、よりベストな豆の表面温度のペースを模索することです。

たとえば、前半の水抜き工程においては、投入から豆の表面温度が167度に至るまでのペースを変化させることによって、カップがどう変化するかを検証していくと、水抜けがベストのピンポイントの時間が特定できてきます。

167度という具体的な数字が突然出てきましたが、これは僕の思い付きから決めた温度で、165度でも170度でもかまいません。一度決めたら変更せずに、基準値としてこれを固定します。

この時点ではまだ水抜けも不完全で、窯の内部温度を一気に上げるタイミングではありません。あくまでも前半の最適なペースを模索するための基準値に過ぎないとご理解ください。

で、僕の焙煎機の場合、投入から5分30秒~6分00秒で167度に至るペースが、水抜けのベストぺースになります。

それより速いペースでは、カップはフレバーは強いのですが、滑らかさ(マウスフィール)に欠け、薄っぺらく=フラットで、若干の刺激的なアフターがボディと錯覚させます。

また、それより遅いペースでは、ブライト感が後退して、全体のトーンに翳りが出てきます。そのため、甘さや滑らかさも奥に引っ込んで、速いペースの時と違った意味でのアフターに媚びた嫌味があって、心地よくフィニッシュしません。

そして両者とも共通することは、ストラクチャリでないことです。(素材のカッピング項目のストラクチャは、素材そのものの持つ特性項目だけではなく、焙煎から左右される特性項目でもあると思います。)

以上のように、センサーが最適な設置位置であれば、正確な豆の表面温度を得ることが可能となり、微妙なカップの変化をとらえることが可能となります。

後半のドライディスティレーション(成分進化)の工程においても同じで、特定の豆の表面温度を固定して、そこに至るペースの変化から、最適な成分進化のペースを模索できます。

今までのわけのわからなかった焙煎が、原因と結果の因果関係がつかめてきて、その実態が少しずつ解明できてきます。

2016/05/27

温度センサーの設置

このブログを始めてから6年、最近は焙煎を数値で語ることの難しさを、つくづく感じています。

解り易くするために、具体的な焙煎時間とか豆の表面温度などの数値をあげて説明しても、それがかえって逆効果で、全く役に立たない!という現実を突き付けられ,愕然としてしまう日々です。

原因は、そもそも各自の焙煎機が多種多様で、それぞれの温度センサーが示す数値はみなバラバラだからです。そんな状況で、僕の数値をトレースしたところで、同じ結果が出るはずがないわけです。

これは最初から解りきったことでもあり、僕も承知していたつもりですが、改善されずよくならないといった不評が多く、改めて新たな方法論の必要性を感じました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2_576x1024_2
思うに、恩師の下で勉強会に参加していた仲間どうしの焙煎議論では、こうした数値の差による違和感はなく、検証結果もほぼ一致していました。

焙煎機もローヤルの半熱風型や、東京の富士珈琲機械の半熱風型、プロバットの旧L型などで、カロリーや容量が大きく違っていても、例えば空だきした時の排気温度と豆の表面温度のセンサーが示す温度の相関関係は大まかに一致していました。

それは構造がドラム型で、ドラムの下にバーナーがあり、その熱量をドラムの上方より強制排気する構造が同じであったこと、そして豆の表面温度を精緻に計測するため、全員が意図的に同じ位置にセンサーを設置していたことが、最大の理由です。

排気温度(釜の内部温度)を計測するセンサーの位置はメーカーが違っても、その位置はほぼ同じで、かつ上記の構造上の類似から、ほぼ同じ数値を示します。

しかし、豆の表面温度のセンサーは、そもそも豆の表面温度というコンセプト自体、当時は希薄で、メーカーオプションがようやく設定されていた状態でした。

そして、オプションでオーダーしても、センサーの設置はひどくいい加減な設置で、焙煎機正面、シリンダーの軸受けのやや右下側に設置して納品されていました。

《画像① 真ん中(軸受け中央、右下)にあるセンサーがメーカーオプションのもの。上部の投入口付近のセンサーが排気温度センサー・下部の前蓋右にあるのが豆の表面温度センサー。》

この位置は、シリンダーが左回転の場合、撹拌され上部に登った豆が落ちてきて、再び撹拌される中継点で、豆の投入量をある程度多く入れないと、センサーは豆の中に埋没してくれません。

少量の投入量ではセンサーがむき出しになって、上から落ちてくる豆がぱらぱらとあたる程度で、正確な豆の表面温度は測定できないことになります。

このように投入量を変化させて焙煎する場合、表示される表面温度はバラバラで、正確な表面温度ではなく、まともな焙煎は出来なくなります。

焙煎の大前提である短時間焙煎を成功させるためには、投入量を調節しながら、窯の最適な実質的キャパを見つけなければなりません。

特に小型の焙煎機ほどメーカー表示のキャパはあてにならず、思いのほか減量して投入しなければ、窯の最適な実質的キャパを見つけ出すことができませんので、豆の表面温度センサーの適正な位置が最も重要であることは、お分かりいただけると思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ということで、豆の表面温度を正確に測定するするには、焙煎機の構造上豆が最も集中する正面排出口(前蓋)にセンサーを設置しなければなりません。

P1040114 そして少量焙煎の場合でも、きっちりとセンサーを豆の中に埋没させるには、出来るだけシリンダーの内面壁側に近づけることが必要です。

出来れば前蓋を外して、其処に透明なアクリル板をくっつけて、実際に豆を投入してみれば、豆がもっとも集中する位置が特定できます。

其処にセンサーの先端が埋没するように、前蓋に穴を開けてセンサーを取り付けます。

このとき、センサーを差し込みすぎると、前蓋を開放するとき、センサーとシリンダーの内側が接触して前蓋が開かなくなり、笑うに笑えない状況になりますから、注意が必要です。

《画像②は前蓋を開放した状況を、冷却器の下側から撮影したものです。
前蓋からセンサーが突き出ている状態がお分かりいただけると思います。》

そして、もっと厄介なのは、シリンダー内部の撹拌用の羽とセンサーが接触してしまうことです。

僕の経験上、ここに至って、多くの方はほとんど諦めてしまいますが、ここからが焙煎に対する本気度が試される!と思ってください。

この難題をどう克服するか?!!!!!!

答えは簡単です。

センサーの接触するところだけ、グラインダーで羽をカットすればよいことで、以外に簡単な作業です。

配管工事などを手がけている町のガス屋であれば、前蓋にセンサーの取り付け用のタップを切ったり、羽をカットすることはお手のもので、ガスの取引があれば簡単に応じてくれると思います。

《画像③はグラインダーで削った画像です。撹拌用の羽(右隅)がカットされている様子がお分かりになると思います。
左のシリンダーと軸受けを連結するホイールの表面も削られていますが、センサーの感知面は先端の数ミリでOKだそうですので、これに当たるまで挿入しなくても、正確な豆の表面温度は測定できます。》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

P1040111 以前の焙煎機メーカーは以上のノウハウを蓄積していて、顧客からオプションの要望があった場合、以上の詳細な情報を顧客に説明できるかは大いに疑問でした。

手っ取り早く簡単に豆の表面温度を測定できる位置が、シリンダーの軸受けのやや下側にあったので、そこに取り付けたに過ぎないのです。

以前スペシャルティの御三家のディードリッヒの焙煎機も、こうした位置に温度センサーが取り付けてあり、唖然としました。

豆の表面温度の正確な測定の必要性は、ロースターからのフィードバックがあって、「****の位置に温度センサーを取り付けてください、*****が温度センサーに当たる場合は、そこを上手くカットしてください。」といった具合に、当初はロースターの特異なオプションに対応して設置されていたと思います。

ですから焙煎機メーカーとしても秘守義務のようなものもあって、なかなか表に出てこなかった経緯があると思います。

今では、スペシャルティコーヒーロースターの間では、〝暗黙の常識”になっていて、たとえばプロバットの中古を扱う専門店などでも、オプションで対応しています。

豆の表面温度を正確に測定することは、焙煎を精緻に構築するためには必須の項目です。

ぜひ設置をして,低温短時間焙煎にチャレンジしてください。

2016/05/09

低温短時間焙煎の再考

P1040072_1280x852_1280x852
「そんなチョロチョロした火じゃあ、豆が煎れるわけねえだろ!!」

そういってよく先輩に怒られたことを思い出します。

当時(80年代)、焙煎は釜の容量の6割くらいの投入量で、終始一貫して強火で、15分前後で煎っていました。

およそどんな豆でも、上記の焙煎パターンを繰り返し、その再現技術を習得することが焙煎の目的でした。

多少のブレはあっても、一定の許容範囲にカップは納まっていて、突出した欠点がければOKでした。

(そもそも、当時カッピングという言葉は、産地や商社での商品の品質チェックを意味していました。それはネガティブチェックで、欠点を探し出すことが目的です。

僕も当時のクラシフィカドール(コーヒー鑑定士)に憧れていて、欠点項目を一生懸命暗記していたことを思い出します。アラ探ししても、アラがほとんど無ければ、最良であった時代だったのです。)

当時、先輩から焙煎は強火が原則と言われました。それは今も間違っていないと思います。

強火で焙煎することは、トータルとしての焙煎時間が比較的短いほうが、良好な結果が得られるという経験則からきています。

時間が短いほうが、まずフレバーや甘さが際立ち、活き活きとしてブライトな印象があるからです。

しかし、釜の容量と投入量の関係から、投入量が多すぎて焙煎時間が短い場合、水抜けが完全ではなく、飲むに堪えられない刺激的なカップになります。

だったら、焙煎時間を伸ばせば、刺激的なカップは収まるだろうと、火力を控えて焙煎時間を長くすると、フレバーやブライト感がスポイルしてしまいます。

結果としてカップ全体が暗くなり、アフターも別な意味での違和感、、、媚びた嫌味が出てきます。

それじゃあ、投入量を減らして、、、、

と、試行錯誤を繰り返すことで、妥当な焙煎時間と投入量と火力が出てきます。

釜のキャパの最適な投入量に至れば、妥当な焙煎時間とそれに対応した、火力が決定され、カップが劇的に向上します。

この時の時間や火力が、短時間であり強火であるわけです。

しかし、これを厳密にカッピングすると、向上したと思っても、フレバーやブライト感の印象度とアフターの違和感が織り交ぜられたカップが出てきます。

この場合、フレバーやブライト感の印象度を優先して、多少のアフターの違和感には妥協して目をつぶるすることが、良いカップとして印象度が上がります。

焙煎時間を若干短めにシフトさせることによって、アフターの違和感も強くなりますが、フレバーやブライト感の印象度を上げることができます。

アフターの違和感は、カップを繰り返しているうちに、不思議と違和感がなくなってくるからです。

手慣れたカッパ―やコーヒーのヘビーユーザーにこの傾向があるわけですから、多くの市販のコーヒーはこうした、フレバーやブライト感とアフターの違和感が織り交ぜられたものになります。

これを妥協せずに、フレバーやブライト感の印象度やアフターの完成度を高めたのが、低温焙煎にほかなりません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
P1040092_360x640_2
上記の焙煎を具体的に語る場合、その共通の客観的な尺度として、排気温度(内部温度)・豆の表面温度・を示し、通常投入からの時間系列で各数値を示すことになります。

これがもっとも、共通項目として客観的な尺度だからです。

だから強火というファジーな表現は失格で、具体的なガス圧計の数値を示さなければなりません。

しかし、残念ながらこれらの具体的な数値は、計器の取り付け位置やバーナーのカロリーが焙煎機によって、ばらばらであてになりません。

案の定、多くの方から、焙煎に関する質問にお答えしても、少しも良くならないというご意見が多く、なかにはかえって悪くなったという意見もあり、焙煎を数字で語ることの難しさをつくづく感じています。

先輩に厳しく指導を受けていた時代は、まだ排気温度計が一個、しかも機械式のアナログのおもちゃのような温度計が、投入口と本体の間にくっついているだけでした。

当時は温度と時間はあくまでも目安であって、それよりも、豆の表面の状態(豆ヅラ)を絶えず注視していたことを思い出します。

投入から何分何十秒くらいには、豆が蒸れ始め、何十秒後には表面が色づいてきて、その後何分の時点では豆がシュリンクして、、、、、、、

といったように焙煎の進行中にポイントを見つけて、その時点で豆ヅラがどう変化しているかを、確認しながら焙煎を進行させていました。

客観的な数値より、「豆ズラ」の変化を基準に焙煎を組み立てて行くことは、非常に重要なポイントだと、ここに至ってあらためて思います。

焙煎の経験を積んだローストマスターたちは、時間と温度だけではなく、豆の表情の変化をも合わせて、焙煎をコントロールしているからです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上の反省を踏まえて、、、、これからも従来どうり

*時間

*豆の表面温度

*釜の内部温度=排気温度

の3点を中心に説明していきますが、

これに、各ポイントの*豆の表面の具体的な状態も加えて、
低温短時間焙煎のノウハウを構築していきたいと思います。

そして読者の皆様との共有をより深めていくために、豆の表面温度や排気温度を計測するための具体的なセンサーの設置位置を説明して、焙煎の進行に合わせて、豆の表面の状態も具体的な画像で示していきます。

より、リアルな“焙煎日記”をめざします。

また、読者の皆様の焙煎現場に直接伺って、焙煎のお悩みを解決しながら、低温短時間焙煎をひろめていきたい所存です。

2016/04/05

焙煎の核心=低温焙煎からの解 Ⅱ

P1040004_768x1024
前回は、通常の焙煎機でも、低温焙煎が可能なノウハウを模索しました。

水が抜けたら、釜の内部温度をいっきに引き上げることによって、できるだけ素早く豆の表面温度を引き上げ、豆自身が持つ成分の適正な進化を即すことが、低温焙煎の成否にかかわっていました。

しかし、低温焙煎の欠点は、水抜けを確認した時点で、豆の表面温度が相対的に低いことで、これを素早く引き上げるためには、強力な火力が必要なため、通常の焙煎機では低温焙煎が無理でした。

なんとか通常の焙煎機で可能なノウハウはないのか?ということですが、まず第一に可能なのは、劇的にワンバッチの投入量を減らすことです。

前半の低温時における、投入量に対する火力は、減量以前より少なくて済みますし、かつフルバーナー時においては、豆の表面温度上昇がすばやくなり、成分進化に達成可能な温度帯に達してくるからです。

(もちろん減量した投入量と釜のキャパの関係で、これは決まってきます。)

投入量を減らすことによって、焙煎機の環境があたかも変化したようになるわけで、バーナーを増設したことと同じ結果になるわけです。このあたりを理解できれば焙煎の核心に迫ることがでます。

しかし、生産効率から、投入量の減量はまずもって避けたいというのが切実な本音です。

ではどうすればよいのでしょうか?

何気なく思いついたのは、最大火力が脆弱であっても、水抜けの時点での豆の表面温度が高ければ高いほど、釜出しの時点での理想的な豆の表面温度に到達することが出来る、、、、、というごく単純な方法でした。

水抜けの8分~8分30秒の時点で、通常の低温焙煎豆の表面温度が174℃前後ですから、ここから一気に2分で192℃に引き上げるのがそもそも無理なわけです。

しかし、この時点で豆の表面温度が180℃前後に上がっていれば、脆弱な火力でも何とか、2分後の10分~10分30秒には、192℃前後に上がってくれる可能性があります。

1分間に5~6℃上昇ならば、通常の倍煎機でも可能だからです。

ただ、そのときの豆の表面温度が高くなれば高いほど、低温焙煎の範疇から通常の高温焙煎に移行していくことは、注意しなくてはなりません。

実際、通常より高い投入温度で早めに温度展開させ、投入から8分30秒で豆の表面温度が180℃に至ったら、補助バーナーなしの通常バーナーのフルバーナーでも10分30秒で192℃に至らせることが出来ました。

しかし、カップはまったくのアンダーで、魅力的なフレバーや甘さや滑らかさが出てきません。

なぜか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

P1040048_768x1024「う~~ん、クッとこないですね。」

過去、恩師がアンダー気味のカップを表現するとき、よくこう表現しました。
今回のカップはまさしくこれで、印象が素っ気なく,クッとこないのです。

口に含んだとき、フレバーや甘さの輪郭がはっきりと現れ、鼻に抜けていくフレバーもしっかりと印象的であれば、「クッとくる」といい、その全体のインパクトが弱く、輪郭がボケたものであれば、「クッとこない」というわけです。

そしてここからが焙煎の核心なのですが、この表現が、低温焙煎において火力を引き上げるタイミングの差で、こうしたカップの差が出てくる現象を説明するときに、よく使われていたことです。

「水抜きは出来るだけ奥のほうがいい、しかし火力を上げるタイミングが遅すぎると成分がきちんと進化してくれない。」

この低温焙煎、というかスペシャルテイコーヒーの焙煎の核心はこの言葉に凝縮されます。

今回失敗したのは、まさにこの過ちを犯していたことで、その結果アンダーカップが強く出てしまいました。

このように、終了時間とそのときの豆の表面温度がまったく同じでも、カップがまったく違ってしまうのは、なぜでしょうか?

それは焙煎の前半と後半がリンクしたゾーンに注目すれば解答が見えてきます。

具体的には、投入から7~9分前後の豆の表面温度の差がポイントになります。

今回の投入から前倒しで温度を高くもっていったパターンでは、7分30秒で豆の表面温度が175度に至っていますが、従来の僕の焙煎では8分30秒で174度前後に至っています。

そもそも、投入から8分30秒で豆の表面温度が174℃前後に至って水が抜け、それを2分後に192℃までにもっていくことで、豆の成分の適正な進化がなされました。

であれば最大火力が脆弱な通常の焙煎機なら、投入から早めに温度を上げて、投入から8分30秒の時点で通常より高い180℃前後にもっていけば、2分後に192℃に至ることができる、、、、という発想でした。

しかし、これをカップから判断すると、今回の場合、7分30秒の175℃の時点で火力を上げなければ、成分の合成が遅れてしまうというわけです。

投入から7分30秒で175℃に至った時点で、すでに豆の成分進化は始まっていて、素早く進化に必要なカロリーを与えなければならないのに、さらに1分も奥に伸ばして、火力を上げるタイミングが遅れてしまったため、成分進化が不十分であったわけです。

水抜きが奥にいきすぎて、その結果火力を上げるタイミングが遅れてしまったパターンに陥ってしまっていたのです。

このことは、水抜けうんぬんというより、投入から一定の時間や温度帯に至れば、成分の進化が始まっているという結論が導き出されます。

まだ憶測にすぎませんが、成分の進化が“本格的に”始まる時点は、豆の表面温度が174~5℃あたりかもじれません。

そして、そこから素早く釜の内部温度を上げ、豆の表面温度を2分内に192℃前後に上げることが必須であるようです、

ただ、豆の表面温度が174~5℃に至っても、水が抜けているかどうかは、投入からの時間や釜の内部温度で決定されているようで、水抜けと成分進化の始まりが一致するピンポイントを探ることが、焙煎の核心にほかなりません。

今回の検証の結論から、低温焙煎は通常の焙煎機では、思い切った投入量の減量が必須で、そうでなければバーナーの増設が必要になります。

2016/03/21

スペシャルティコーヒーの歴史 Ⅰ

サードウェイブというフレーズを、最近よく耳にします。

それはたいていコーヒーが語られるときに、耳にするフレーズです。

“サードウェーブコーヒー”

コーヒーの第3波、、、、、、3番目のコーヒーブーム、、、、、という意味になりますが、最近は第3世代のコーヒーという言い方で語られています。

もともとアメリカのコーヒーを語るワードで、第3ということは第2、第1もあるということで、どうやらアメリカのコーヒー発展の歴史を紐解けば理解できそうです。

そして、それはアメリカのスペシャルティコーヒーの勃興から現在に至るまでの経緯を振り返れば、より手っ取り早く、かつ鮮明に理解できます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6_1280x855《ファーストウェーブ・第一世代のコーヒー》


1950代から1960年代に、アメリカのコーヒー消費量は増加を続け、62年にはコーヒーの一人当たりの飲用杯数はピークに達します。

なんと、一人が一日に飲む杯数は3.12杯!

なんだそれだったら、日本のコーヒー党だって、このくらい飲むのはザラじゃないか・・・・と思いますが、何しろ全米の飲用者の平均値ですから、その総消費量は半端ではありません。

家庭とオフィスでの消費増大がその主因であり、まさにコーヒーがアメリカの国民的飲料であったことを証明しています。

ちょうどこのころを象徴してファーストウェーブ・第一世代のコーヒーと呼びます。

真空パッケージの開発・普及と、大量生産・大量消費のムーブメントに乗って爆発的に消費が拡大した時代でした。

ところがその後62年をピークにして、坂を転げ落ちるように、消費は衰退の一途をたどります。

飲用率は、62年の75%をピークにして、徐々に逓減していきます。75年62%、85年55%、で95年では47%まで落ち込みます。

これは62年には100人中75人がコーヒーを飲んでいたのに、95年には47人に減少していることです。

また、一人が飲む一日の平均杯数も62年の3,15杯から95年の1,67杯にまで落ち込んでいますので、アメリカのコーヒーの消費量は激減していることがわかります。

多くのアメリカ国民がコーヒーを飲まなくなってしまったのはなぜでしょう?

理由は至極簡単で、コーヒーが不味かったからです。

当時はフォルジャーズ、ゼネラルフーズといった大手メーカーが、低価格で市場の占有を争っていました。まあ、そのおかげ(低価格)で家庭や職場に広く普及したわけですが、厳しい価格競争はやがて限界が来ます。

コスト低減の努力が限界に至ると、彼らは原材料に手を付け始めました。

品質は二の次で、より安い原材料の調達競争に入っていきます。

80年代の初め、僕が自家焙煎を始めたころ、商社の方から伺ったのは、生産国の優良品はそのほとんど(まだグルメとかスペシャルティコーヒーの言葉もなかった頃です)がヨーロッパに輸出され、その次は日本に、そして、粗悪品はアメリカに輸出されている、ということでした。

アメリカの焙煎業者がとにかく、安く買いたたく結果であったと思います。

その結果、コーヒーが不味いいものとなって、消費の減少に拍車をかけます。

この消費量の減少に伴う市場の縮小の中で、熾烈な販売競争は低価格・低品質競争に突入していきます。

やがて、、、、、

そんなアメリカのコーヒー市場にうんざりし、改革を模索する焙煎業者が出てきます。

アルフレッド・ピートがカルフォルニア・バークレーに《ピーツコーヒー&ティ》を開店し、そのピーツの信奉者たちがが集まって、《スターバックスコーヒー》が創業されます。

また、ジョージ・ハウルがボストンに《コーヒーコネクション》を開店します。

セカンドウェーブ・第二世代のコーヒーの勃興です。

2016/03/04

焙煎の核心=低温焙煎からの解 Ⅰ

P1030934_720x1280_3前回は、ドライディスティレーション=後半の豆の表面温度の時間経過による成分進化を検証してみました。

具体的には、水が抜けたら一気にガス圧を上げることによって、釜の内部温度をあげ、豆の表面温度をどう時間的にコントロールしたら、カップは向上するか?という検証です。


これはテーマの低温焙煎からのアプローチですが、それに限らず高温短時間焙煎や一般的な焙煎においても、ドライディスティレーションの良否は焙煎後半の一定時間から釜出しまでの、豆の表面温度の焙煎カーブで決定されます。

具体的には横軸に時間・縦軸に温度でグラフを描き、それをカップで判断していきます。

とても厄介なように思えますが、このアプローチを単純化するために、とりあえず焙煎の中段の一定の時間を出発点としてこれを固定し、かつラストの釜だし時間も固定します。

そして、固定された釜出しの時点の豆の表面温度を変化させて、どの温度値のカップが良いか、、、、をカップから判断しました。

この結果、豆の表面温度が高いほうが良いカップが得られました。(具体的な数値は前回までを再読してください。)

検証から、投入から10分30秒で192度が良好なカップが得られたわけですが、これは大幅なバーナーの増設による火力アップによって、この温度帯が可能になっています。

通常の焙煎機でこの温度帯を可能にするには、高温短時間焙煎でアプローチすれば可能になりますが、ここでは対象外とします。

では、通常の焙煎機で、なおかつ低温焙煎の手法で、この温度帯に至らせるためにはどうしたらよいのでしょうか?

まず考えるのは、早めに火力を上げていくことですが、そもそもまだ水が抜けていない状態で火力を上げることは、低温焙煎ではご法度です。

低温焙煎ではむしろ、出来るだけ火力を上げるのを遅くして、きっちりと低温の状態で水分を抜きたいのが本音です。

他の方策はあるのでしょうか?

検証では、投入から6分30秒で豆の表面温度が167℃至るペースで進行し、ほぼ水抜けを確認した8分30秒で火力をいっきにあげました。その時点での表面温度は175℃前後に至っています。


ここで、大胆な仮説をします。

■水抜けは、前半の多少の長短があっても、およそ8分30秒で完了する。

■ということは、火力を引き上げる8分30秒の時点での豆の表面温度がもっと高ければ、火力が脆弱な通常の焙煎機でも、釜出しの10分30秒の時点で豆の表面温度を192℃に至らせることが可能となる。

おそらく8分30秒の時点で、179~180℃になっていれば可能性あり。

■そうするためには、6分30秒よりもっと早い時点で、豆の表面温度が167℃に至るペースを作る。具体的には以前のように5分~5分30秒で167℃に至るペースを作る。。

■そうすることによって、6分30秒・171℃、7分30秒・175℃、そして8分30秒で179℃のペースを作ることがでる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1_1280x720_800x450_2
以上の仮設を検証した結果、ものの見事に10分30秒で、豆の表面温度が192℃に至らせる事が出来ました。

僕の焙煎機では火力が強すぎて、火力の引き上げ幅をかなり抑えながらの進行でしたので、一般の焙煎機でも可能な範囲と思います。

また、同じように前半の豆の表面温度を随時引き上げて検証していけば、いずれは火力を無理に引き上げなくても、10分30秒で、豆の表面温度が192℃に至らせる事が出来きます。状況によっては逆に火力を“引き下げ”ながらのコントロールが必要となる領域に至ります。

これはまさに、低温短時間焙煎と高温短時間焙煎の分水嶺を模索していることにほかなりません。

火力を無理に引き上げなくても、10分30秒で、豆の表面温度が192℃に至らせる事が出来きれば、もうこれは通常の高温短時間焙煎です。

じゃあそれより前の、水抜けを確認して、火力を引き上げるのが低温焙煎か?と言えば違うと思います。

どの時点が低温焙煎か?---そのあたりをハッキリさせることが、今後の課題になります。


しかし、カップは残念ながら駄目でした。

実はとんでもない重要なポイントを忘れていました。

2016/02/09

ドライディスティレーション《成分進化の実相》Ⅴ

前回と前々回は、コーヒーの抽出を書きこみました。

実は今、ホームページの構築中で、その中のページ “美味しいコーヒーの淹れ方” の原案を作っていたのですが、制作会社へ説明するためには、メールで文章と画像を送らなければなりません。

そして,ただ送っただけでは完成するわけでなく、その後の制作会社との細かい煩雑なやり取りがあって、ようやく満足するページが出来上がります。

この煩雑さを解消するにはどうしたらいいか?と思案していたところ、、、、、

「そうだこのブログに書きこんでしまえばいいじゃん!」と名案が浮かびました。

書きこんだブログを雛形に、制作会社に見栄えよく作っていただけば、説明するもどかしさが解消します。(そもそもブログで書きこむことも大変ですが、、、、)

出来上がったホームページのページは、とてもきれいにレイアウトされていて、読みやすいページになりました。

しかしその反面、僕の操作が未熟なため、このブログの読者の方々には、見苦しいページでお読みいただいていることをお詫び申し上げます。

HPが完成しましたら、このブログでご報告させていただきます。

しばらくお待ちくださいませ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


P1030893_1280x852_1280x852
さて、本題・焙煎に戻ります。

前回は、浅煎りのピンポイントを探り、その結果投入から10分30秒の時点で、豆の表面温度が192℃に至ると、カップの向上がみられました。

そして、同じ時点で、豆の表面温度が188℃の場合もややアンダーながら、カップが良かったことと、できるだけ豆の表面温度が高いほうが良い結果が出るということで、30秒前の10分で、188℃はどうか?を試しました。

10分30秒で192℃より、もっと浅煎りでのパフォーマンス=ジョージのフルフレバーローストと同等なパフォーマンスを期待していましたが、カップは期待とは裏腹に駄目でした。

レスクリーン気味で、フラットで奥行きが感じられないのです。

この関係は、1分後の11分30秒で197℃の良好なカップに対し、11分の194.5℃のカップもレスクリーンでフラットと同じ結果となります。

12分30秒の202℃のカップに対し、12分の199.5℃のカップも同じです。

このことから、ドライディスティレーションにおいて、1分間5度上昇の時計回りで、カップが向上したり劣化したりするサイクルがあるように思います。

10分台であれば、10分188℃のフラットでレスクリーンが、30秒後の10分30秒でストラクチャリでクリーンになり、そして30秒後の11分でフラットでレスクリーンといったパターンを繰り返すようです。

このことは豆の表面温度を変えてみて、なお検証してみなければ結論は出ませんが、パターンはあるように思います。

ちなみに、10分を188℃ではなく、5度法則で190℃で試しましたが、同じ結果となりました。
(ガス圧を一気に上げて、3分後に豆の表面温度を190℃にするには、強力な火力が必要なのですが、ちょっとした仕掛けもあります。そのへんは次回で説明します。)

このように焙煎によるストラクチャの構築が変化しているのなら、ローストの段階は限られてきます。

従来の焙煎度合い=色段階の分類は、カップからはもっと単純化しなければなりません。

説明の都合から、ライトロースから始めましたが、ミディアムローストの好結果から、その1分前で、5度低いライトロースのポイントや、1分後の5度高いシティローストのポイントを試してみて、カップがよければドライディスティレーションの進行はほぼ間違いがないと思います。

このようにして、よいカップからフィードバックして、全体のドライディスティレーションの流れをつかんでいきます。

またカップがよくなくても、先ほどのストラクチャの原理から、15~30秒のずれを修正することで、カップがガラッと向上することもあり、焙煎全体を見直してしまうのは早計だったりもしますので、要注意です。

焙煎を何度繰り返しても上手くいかず、焙煎の迷路にはまってしまい、思い悩むことはもうたくさんです。

いらぬ徒労を繰り返すより、このストラクチャの原理と1分5度原理で、ドライディスティレーション=成分進化の実相を摑んでみてください。

勿論、自分の焙煎機で、ピンポイントで焙煎をコントロールする技術の習得は欠かせませんが、そこまで至れば、焙煎の真実はすぐ近くにあるのです。

皆さん頑張ってください!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

P1030931_1280x720_3次回は前半の水抜き工程に戻って、時間と温度の関係を、今一度整理してみます。

今回の一連のドライディスティレーションの検証で、早い段階で表面温度が上がっているほうがカップが良かった結果を得ました。

このことは、そもそも低温焙煎が故の結論なのですが、早く表面温度を上げるために、ガス圧のパワーを上げることで対応してきました。

しかし、それ以外でも何らかの方法があるようです。

このことは低温焙煎と高温焙煎の分水嶺の領域にほかならず、これをカップから判断していきます。

«コーヒーの抽出 Ⅱ コーヒープレスの抽出メソド

フォト

スペシャルティコーヒー

  • サードウェーブコーヒー
    アマゾンに出店しました。サイトの上部の検索バーで“サードウェーブコーヒー”と検索すれば、検索結果の上位に商品パッケージが表示されます。
  • サードウェーブコーヒー
    ヤフーショッピングに出店しました。商品ページごとに、焙煎のプロファイルを公開しています。ブログと併読していただければ、よりリアルな焙煎ノウハウを実感いただけるとお思います。