2016/12/05

ニュークロップ対応の焙煎プロファイル

前回までは通常の短時間焙煎と低温短時間焙煎の比較検討をしてきました。

今回は、スペシャルティコーヒーロースターとして頑張っている、友人の短時間焙煎の焙煎プロファイルをご紹介いたします。

焙煎機は旧L22型で、少量焙煎を実行しています。

コスタリカとグアテマラの焙煎プロファイルを提供してくださいました。

「l21_graph.xlsx」をダウンロード

Photo_2















ご存知のように、スペシャルティコーヒーロースターを目指す場合は、ニュークロップの焙煎対応が必須となります。

ニュークロップといっても、バリバリの入荷したての生豆から、収穫から1年を経過して、次の入荷待ちまでの生豆と、さまざまな生豆が在庫に混在しています。

それらの生豆の状況を掌握して、焙煎ペースがぶれないようにコントロールしなければいけません。

特に入荷したてのニュークロップは要注意です。

不用意に投入しようものなら、あっという間に焙煎が進行して、気がついたときには修正が不可能な状況になってしまった、という経験をされた方も多いと思います。

含水量が多いのだから、その分時間がかかるとイメージしがちですが、実際はその逆でモイスチャ「水分」の熱伝導が良い分、進行は早くなるようです。

進行が早くなってしまったときのカップは、アフターやマウスフィールが刺激的となり、レスクリーンになります。

また、含水量が多いのなら、焙煎時間を長めにすればよいのでは?と思いますが、従来より時間をかけたときのカップは、明るさが薄れ、暗いトーンになりがちです。アフターに雑味が残り、マウスフィールが悪化します。

以上のカップの結果から、ニュークロップであっても、従来の進行ペースを守らないといけないことになりますから、細心の注意を払って、従来の進行ペースをトレースしなければなりません。

そのためには、投入時の釜の内部温度と、豆の表面温度のセンサーが示す温度を、従来より低くして投入し、釜の内部温度と豆の表面温度の中点を下げます。

どのくらいの下げ幅にするかは、試行錯誤するしかありません。有能なローストマスターは経験知から、その数値を的確に導き出せます。

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友人の店には、世界中の産地からトップオブトップやスペシャルティ、そしてCOEのロットが常時入荷していてます。

焙煎プロファイルからもその状況が読み取れてきます。

細心の注意をはらって、投入時の豆の表面温度のセンサー温度と、排気温度を設定しています。

コスタリカとグアテマラの投入温度の差は、クロップの差や豆質の差から微妙に違っていますが、中点を過ぎると、同じラインに乗せています。

参考に、以前のスマトラの短時間焙煎と比較したグラフを表示します。

Photo

Photo_2

ただ、今回のプロファイルは温度差がかなり大きく開いていますので、おそらく投入量の違いからの温度差と思われます。(コスタリカのほうが少量投入)

およそ11分ころにはコスタリカもグアテマラも、スマトラと同じ豆の表面温度になっています。

そして、これ以降はスマトラと同じラインをトレースしていけば、中煎り~深煎りのペースになります。

11分以前ですと、同じ表面温度では1分~1分半ほど、長くかかっています。

これはおそらく、フルフレバーローストの浅煎りが180度台後半のため、少し長く時間を取って、成分の進化を十分にしたと思われます。

何度も焙煎とカッピングを繰り返して、このラインが導き出されているわけです。

2016/11/19

高温短時間焙煎と低温短時間焙煎 Ⅲ

前回は、通常の(高温)短時間焙煎と低温短時間焙煎をグラフで示し、前半の工程(水抜き工程)を比較検討しました。

このグラフによって、通常の短時間焙煎の欠点、すなわち風味特性を強調すればするほど、アフターやマウスフィールがいびつになるという欠点を、低温短時間焙煎がどのようにして改善しているか?を、大まかに理解していただけたかと思います。

その要点は、

●水抜けが完了するまで、釜の内部温度を上昇させずに一定の温度(180℃以下)を保つ。

●そして、あくまでも短時間焙煎を維持する(焙煎の大原則)ために、7分で豆の表面温度が167度に至るよう進行管理をする。          

でした。

この矛盾する要点(低温と短時間)を上手くまとめ上げるには、投入時点における十分な釜の余熱の確保と、投入量のバランス(思い切った減量)がポイントでした。

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今回からは後半の工程、すなわち成分進化の工程を比較検討しますが、上記の特徴から低温焙煎の欠点がもろにこの工程で表れてきます。

焙煎後半の8~10分ころにおいて、通常の短時間焙煎に比べ、釜の内部温度や豆の表面温度が相対的に低くて、成分の進化が十分になされないからです。

具体的には通常の短時間焙煎では、8~9分で釜の内部温度は200℃以上に至っていますが、低温短時間焙煎では依然として180℃以下に保たれています。

全体としての水抜けを最優先するために、低温短時間焙煎は水抜けを確認するまでは、釜の内部温度を引き上げることができませんので、結果としてどうしても後手に回ってしまうことになるわけです。

(成分進化を優先させて、水抜けが確認できなくても、釜の内部温度を早く引き上げていけば、それなりの成分進化の結果が出てきますが、やはりアフターやマウスフィールの領域で欠点が出てきます。通常の短時間焙煎と変わらなくなってしまうわけです。)

どの時点で釜の内部温度が何度に至っていれば、そしてどのくらいの時間を経過すれば、成分の進化は適正に進化するか?という焙煎後半の核心はやはりカッピングによって突き詰めていくしかありません。

ひょっとすると、低温短時間焙煎では遅すぎて(温度が低すぎて)、成分進化は結局無理かも知れないといった不安は、過去いつもつきまといました。

しかし、水抜けを確認してから、できるだけ早く釜の内部温度を引き上げることができれば、低温短時間焙煎の場合でも、適正な成分進化は可能であることが確認できてきます。

グラフから分かりますように、水が抜けて一気に火力を上げて、ほぼ1分以内に180℃以下から230℃にまでに、釜の内部温度を上昇させれば、後手に回った成分進化をとり戻すことが出来ます。

両焙煎とも投入から7分の時点で、豆の表面温度が167度で経過しますが、その後は、低温焙煎が釜の内部温度を上げずに一定にするため、じわりじわりと温度差が開いていきます。

そして8分40秒前後で、低温焙煎が水抜けを確認して、釜の内部温度をひきあげる時点では、豆の表面温度差は10度以上開いています。

この時点から、一気に釜の内部温度を引き上げて、1分以内の9分40秒前後までに釜の内部温度が230度に至れば、後手にまわった成分進化はとりもどすことが出来る、、、という結果をカップから得られます。

グラフを見て頂ければ、釜の内部温度の急激な引き上げに伴って、豆の表面温度も上昇ペースを速めていくのがお解りいただけると思います。

投入から10分経過の時点では、両焙煎の豆の表面温度差は約6℃までに縮小して、11分の時点では、ほぼ差はなくなります。

(以前にご紹介しましたAGFの匠焙煎における2段目の上昇カーブがこれに当たります。)

この11分の時点が浅煎りのポイントで、豆の表面温度が192℃前後に至ります。

このことから、焙煎時間の経過と豆の表面温度が成分進化に直接関与していると思われます。

そして、それを左右するのは、釜の内部温度であるわけです。

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このわずかな1分内の出来事で、焙煎後半の成分進化の良否のピンポイントが隠されています。

そのピンポイントは

*水抜けの判断が遅れて、釜の内部温度の引き上げが後手にまわった場合や、水抜けの判断が速すぎて、釜の内部温度の引き上げが速すぎた場合にどうカップは変化するか?


*できるだけ早く釜の内部温度を上げるには、釜の内部温度が1分以内に230℃に上昇に上昇すればよいが、それ以上の、例えば240℃であったらカップはどう変化するか?


*今回はスマトラであったわけで、豆の種類によって、230℃の引き上げが、豆の表面温度の進行がどう変化するか?そしてカップはどうか?

といった意図的な操作の繰り返しと、カッピングの繰り返しの検証から特定できてきます。

このところを今後詳しく検証していきます。


2016/11/03

高温短時間焙煎と低温短時間焙煎 Ⅱ

 通常の(高温)短時間焙煎と低温短時間焙煎のプロファイルを以下のエクセルに進行表とグラフで示しています。プリントアウトして本文と一緒に見ていただければ幸いです。(オフィスソフトによっては、グラフが正常に表示されないことがあります。)


「indonesia2_.xlsx」をダウンロード


2_3
共に インドネシア・スマトラ・アチェの焙煎プロファイルです。
青のラインが短時間焙煎で、緑のラインが低温短時間焙煎を示しています。

実線がそれぞれの豆の表面温度、点線がそれぞれの釜の内部温度を示しています。

両者とも7分前後で、豆の表面温度が167℃前後に至るように表示されていますが、意図したわけではなく、それぞれ別個に焙煎の進行とカップの検証を繰り返した結果、偶然にも両者のベストカップは同じ展開になっていました。

このため、比較検討することが非常に分かりやすくなっています。

14分で207.5度の釜出しは、およそフルシティの焙煎度で、13分でハイ~シティ、12分でミディアム、11分でライトローストとして、釜出ししています。

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まずもって目につくのは、低温短時間焙煎の前半における、排気温度(内部温度)が高温短時間焙煎に比べ、低めでかつ上昇せずに一定であることです。

豆を投入すると、1分30秒前後で豆の表面温度がボトムに至り、やがて上昇していき、白く蒸れはじめ、その後色づき始めてくる段階に至ります。(入荷したてのニュークロップでは蒸れの段階がないのが大半です。)

この段階で、釜の内部温度を上昇させずに、一定の温度(この場合は177℃)を維持することによって、表面からのローストの進行を極力抑え、全体の水分をぬいていきます。

ボトムから勢いよく上昇してきた豆の表面温度は、釜の内部温度を上げないため、徐々にそのペースを落としながら、釜の内部温度に近づいてきます。(4分~8分)

およそ7分前後で豆の表面温度が167℃に至りますが、そのまま水抜きを続けていますと、8分30秒から9分の間で水抜け完了のサインが出てきます。

ボトムから水抜けまでの豆の表面温度のラインが、緩やかなカーブを描いていますが、このカーブが芯からの水抜きを可能にしていると思います。(以前に指摘したAGFの匠焙煎のカーブも同じです。)

そのサインを見落とさずに、素早く火力を上げ、一気に釜の内部温度を上昇させます。

それに反して、通常の短時間焙煎は、たえず釜の内部温度を上昇させて、豆の表面温度を引き上げていきます。(3分~9分)

これは、火力能力の高い焙煎機で、ニュークロップの適量(少量)を焙煎する場合のパターンで、スペシャルティコーヒーロースターの大半が行っている、短時間焙煎です。

プロバットがドラム式の焙煎機を開発してから今日に至るまで、古今東西の真っ当なロースターたちが行きついた定番中の定番焙煎と思います。

まずもって、焙煎の適正時間が最初にあって、焙煎機の能力と容量から、投入量が決定されます。
しかし、スペシャルティコーヒーの大原則であるニュークロップの場合、投入してからの展開が思いのほか早く、あっという間に進行してしまう経験則から、投入温度や火力を低めに設定してしなければなりません。
そうすることによって、トータルの焙煎時間が定番の焙煎時間と一致することになるわけです。
(この過程を水抜きをする工程と呼称して、そのために投入温度や火力の出力を抑えるという考え方をされるロースターの方が多いのですが、これは本末転倒で、ニュークロップの焙煎を定番焙煎の時間枠にはめ込むための手段にすぎません。

工程を明確に分けるのなら、何らかの水抜けの確認作業があって、そののち成分進化の過程に移行する所作があってしかるべきです。)

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以上の説明で、両者の焙煎コンセプトが理解していただけると思います。
 
低温短時間焙煎は、従来の(高温)短時間焙煎が釜の内部温度を無造作に引き上げることによって、表面から焙煎が進行して、その結果として豆の芯に水を残してしまうために、アフターやマウスフィールが阻害されると考えます。

あるいは、投入量が適量であって、水抜けがドンピシャリであっても、強い火力で豆の表面が歪み、アフターやマウスフィールが阻害されるとも考えます。

原因がはっきりと特定できているわけではありませんが、おそらくグラフでいうと、4分から9分の釜の内部温度上昇の差が影響していると思われます。

次回は後半の成分進化の段階における、両者の違いを説明していきたいと思います。

2016/11/02

読者からのメール

前回のエクセルによる焙煎プロファイルは多くの方の“反響”をいただきました。

といっても、お叱りのメールが多く、とても反省している次第です。

同じ思いをされている方は、もっと多くおられると思いますので、
以下、メールの一部とそれに対する僕の返信をご紹介して、ご理解をいただきたく思います。



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Date: 2016/10/20, Thu 01:25
Subject:  低温短時間焙煎プロファイルを拝見して
 
以前メールで焙煎についてアドバイスを頂きました〇〇と申します。
ブログの更新を楽しみにいつも勉強させて頂いています。

本日は低温短時間焙煎のプロファイルを拝見して疑問に思うことがありメールしました、お
答え頂ければ幸いです。


まず私の思う低温短時間の要点は(山本 様の釜による)

・予熱後豆を投入、釜の内部温度はボトムの175度以上180度未満に固定

・豆の表面温度は5分30秒〜6分00秒に167度を通過

・8分〜8分30秒(豆の表面温度は174度〜175度)水が抜けたらガス圧を全開

・ガス圧を全開後、内部温度は240度前後まで引き上げすぐに引き下げながら調整
ガス圧を全開にした1分後にファーストクラック、さらに1分後豆の表面温度は192度前後

・その後豆の表面温度は1分間に5度上昇、目的のローストでおとす

この様に理解していたのですが拝見した低温短時間焙煎のプロファイルでは5分30秒〜6分00秒の豆の表面温度など上記との違いがあるのはどうしてなのでしょう
また私の低温短時間焙煎に対する認識に間違いがあればアドバイスをよろしくお願いいたします

美味しく焙煎したいです‼︎


Subject:  Re: 低温短時間焙煎プロファイルを拝見して
 
 
〇〇様
メールありがとうございます。
ご指摘のとおり、データーが矛盾しています。
これはひとえに,僕が逐一ブログを更新していないことが原因で、反省しています。
お許しください。
状況は以下のとおりです。
今年の夏季から現在(10月)に至るまで天候が不順で、焙煎に大いに悩みました。
 
クリーンカップができにくく、この原因は何なのか?と思案していましたが、原因は水抜けが悪くなっていると思い、前半の水抜き工程を延長しました。

30秒そして、1分延長して、投入から7分00秒で豆の表面温度が167℃に至るようにしました。

その結果として、クリーンカップが改善されたため、現在に至っています。

その結果として、ガス圧の引き上げは1分伸びて、9分、、、、というわけではなく、8分45秒前後で引き上げています。

どうしてか?といえば、その時点で水が抜けているからです。

1分延長しても、その分水抜きが奥に行くのではなく、速めに抜けていく傾向がありるようです。

早ければ、そのぶん早く釜の温度を引き上げることができますから、速く釜の内部温度も立ち上がり、成分進化もよくなってきます。

水抜けが改善され、かつ成分進化も改善されるという結果になります。

このあたりの微妙な関係に低温短時間焙煎のポイントがあるようです。

また、その時の豆の表面温度は174℃~175℃ではなく、もっと低くなります。

水抜きが、長くなればなるほど、表面温度や釜の内部温度は低くなり、成分進化がむつかしくなってきます。

そして、240℃ではなく230℃、、、、あまりに多くのカップの結果が、今回出ています。

次回またこのへんをメールします。
宜しくお願いいたします。
  

                   サードウェーブコーヒー:山本敦則
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Date:
2016/10/21, Fri 16:33
Subject:焙煎プロファイルについて
はじめまして、〇〇と申します。
数ヶ月前ほどからになりますが、ブログ「焙煎日記」を大変興味深く拝見させて頂き焙煎の参考にさせて頂いております。

ーーー中略ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、焙煎につきましては、色々うかがわせて頂ければと思っておりますが、自分の中でまだ整理できていませんので、今特に気になっている点をお聞きできればと思います。

・中点からの温度上昇の傾きが急の場合表面だけ焙煎が進んでしまう事が考えられ、そのため 急にならないようにするため投入温度を上げると思いますが、中点はある温度以下にならなければいけないなどの制約は低温短時間焙煎の場合あるのでしょうか?

・低温短時間焙煎:その鳥瞰では、豆の表面温度167℃に達するのは6分前後とあり、
スマトラ・アチェの焙煎プロファイルでは7分を超えていますが、実際の焙煎では7分を目処に行っていますか?

質問のご返信はお時間があり、可能であればで結構です。

ブログとても参考になっております。今後も楽しみにしています。



Subject:
Re:焙煎プロファイルについて


〇〇様

メールありがとうございます。

以下お答えいたします。


・中点からの温度上昇の傾きが急の場合表面だけ焙煎が進んでしまう事が考えられ、そのため急にならないようにするため投入温度を上げると思いますが、中点はある温度以下にならなければいけない、などの制約は低温短時間焙煎の場合あるのでしょうか?

過去、恩師がこの焙煎コンセプトをサンプルロースターで提案されましたが、衝撃的な焙煎でした。

一定のごく細い炎でず~~っと水を抜き、(その間とても長かった印象があります)頃合いを見て、サンプルバーで水抜けを確認して、いきなりガス圧を全開にして、焙煎したことを思い出します。

このことを低温焙煎の原点とすれば、中点の温度制限はない、と思います。

しかし、本焙煎の経験を重ねてくると、ある程度の時間内に焙煎を納めないと、上手く煎れないことが分かってきます。

この焙煎のトータル時間の制約から、おのずと下限はあると思います。

そして、やみくもに長く水ぬきをしても(低い温度で水抜きと同義語になります。)、水が抜けていざ釜の内部温度を上げようにも、その時の釜温度や表面温度が低すぎて、十分な成分進化を達成できないといった危険があります。

これは低温焙煎の最大の欠点で、とても飲みやすいが、風味特性がショボくて、何ら感動もないコーヒーになってしまいます。

また、中点というより、投入からおよそ3分以降の釜の内部温 度(水が抜けるまで上げない温度帯)の上限は、カップからあると思います。

少なくとも182~185℃で維持した場合、アフターやマウスフィールが悪くなってきますから、これ以下の温度帯を維持し、かつ目的の時間内に水抜き工程を納めることが必要と思います。

・低温短時間焙煎:その鳥瞰では、豆の表面温度167℃に達するのは6分前後とあり、スマトラ・アチェの焙煎プロファイルでは7分を超えていますが、実際の焙煎では7分を目処に行っていますか?

他の方からのお叱りのメールも届いています。この経緯は次回のブログにアップします。

以上宜しくお願いいたします。


                      サードウェーブコーヒー:山本敦則


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 日々の結果を、逐次ブログで報告するのがベストですが、諸般の事情からとても無理ですので、上記のような状況が出てきてしまいます、、、、ご理解をください。

「また違ったことを言ってるな?」と疑問がありましたら、ぜひメールでお知らせください。

また、どんなご質問でもかまいませんので、ご遠慮なくご質問をください。

多くの方が参加して、ともに焙煎技術力の構築を目指すブログにしていきたいと思っています。

宜しくお願いいたします。
 

2016/10/14

高温短時間焙煎と低温短時間焙煎 Ⅰ

前回は基本的と思われる高温短時間焙煎のプロファイルを示してみました。

セカンドウエーブの旗手たるスタバやピーツが日本に進出して、アメリカのスペシャルティコーヒーが伝播しだすと、やがて焙煎ノウハウも伝播しだしてきました。

彼らとの交流が盛んになって、こうした焙煎ノウハウも漏れ始め、一定期間を過ぎるとワーッと拡散しだします。

最初はいろいろな根も葉もないノウハウもあったりしますが、彼らとの交流から20年くらい経過した今は、それらが取捨選択されて、まっとうな短時間焙煎が、良識的なロースターの間では共有されていると思います。

前回、開示した焙煎プロファイルは、10年ほど前の僕のプロファイルですが、最近、ことあるごとにスペシャルティコーヒーロースターの方々に焙煎のプロファイルをお聞きするたびに、お互いの焙煎プロファイルがほぼ一致していて、驚いています。

これはもはや、焙煎そのものの基本的プロファイルといってもいいと思います。

セカンドウェーブの旗手たちが、コーヒーの基本に立ち返って、欧州の老舗に師を求めたとき、まずもって焙煎ノウハウも師匠の欧州から学び取ったことは、彼らの深いローストから理解できます。

この欧州から学んだ焙煎プロファイルは、現在のアメリカや欧州、そして僕たち日本のサードウエーブを標榜するロースターたちが結果として共有する焙煎プロファイルになっているわけです。

伝播してきたこの基本的プロファイルが、以前の僕たちの長い時間の焙煎に対して短いため、“短時間”焙煎と呼称しているのでありますが、最初からこの基本プロファイルから入門している、現在の若い人たちにとっては、短時間という呼称の意味が解らないのは無理もありません。

それくらい技術ノウハウの伝播と浸透の早さには、あらためて驚きます。

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上述のように、現在のサードウェーブの主要な担い手はこのセカンドウェーブの基本的焙煎プロファイルをそのまま受け継いでいるにすぎません。

トレーサビリティに始まる豆の詳細な情報開示や、オーダーごとのバーチャルな抽出といった“サードウェーブ”の流儀は華やかに開花しましたが、焙煎ノウハウは全く変わっていないということです。

だからこそ“基本的焙煎プロファイル”と表現することができるのですが、恩師の提案された“低温焙煎”ノウハウはどに行ってしまったのでしょうか?

そもそも、低温倍煎は高温短時間焙煎の欠点である、アフターやマウスフィールの“歪さ・違和感”を解消して、まっとうなアフターやマウスフィールを再現することを標榜としてきました。

豆の持つ風味特性を強調するためには、強い火力と高い投入温度で焙煎すれば、その目的はある程度達成されます。

ただ、このような短時間焙煎の最大の欠点は、アフターやマウスフィールの領域において、アストリンジェントやビターといった雑味がどうしても出てしまい、トータルとしてのカップが悪くなってしまうことです。

風味特性を強調すればするほど、アフターやマウスフィールは歪になり、そのアフターやマウスフィールを改善しようとすると、今度は風味特性がなおざりになるといったジレンマがいつも付きまといます。

現実には、各ロースターが両者の落としどころのポイントを見つけて、妥協しているにすぎません。

風味特性を損なうことなく、マウスフィールやアフターを向上させるーーーこの矛盾する課題からノウハウが構築されたのが”低温焙煎”のメソドであるわけです。

その歴史的経緯は後の考察に譲りますが、まずもってその基本的な着想は、焙煎工程を水抜きの工程と成分進化の工程に分け、焙煎の前半を水抜き工程とし、焙煎の後半を成分進化の工程と明確に分けることにあります。

高温の短時間焙煎は、明確に焙煎工程を分けるというコンセプではなく、単に風味特性を引き出すことを主眼としているため、結果として水を抜きながら、成分進化を同時に進行させています。

このため、豆の内部に水を残したまま焙煎が進行して、それがいつまでも芯に残って、アフターやマウスフィールを阻害するのです。

強引な焙煎により、豆の表層から水が抜け、水が抜けた表層から成分進化が始まり、徐々に豆の内側にその過程が移っていきますが、いつまでたっても芯の部分の水は残ったままという状況をご理解いただけると思います。

結局、高温短時間焙煎は芯に残る水分量がより少なくなればベターであって、そのベストな状況が前回示した基本的な焙煎プロファイルに落ち着くわけです。

次回は具体的に、高温短時間焙煎(基本的焙煎プロファイル)と低温短時間焙煎のプロファイルを比較検討していきます。

2016/09/14

短時間焙煎への挑戦  Ⅱ

前回は経験則として、一定容量の焙煎機で、多く投入すれば焙煎時間が長くなり、少なく投入すれば焙煎時間は短くなるという結論を得ました。

この結論は、焙煎を少しかじれば、イメージとして想像できることですが、それを実際に焙煎とカッピングを繰り返して導き出したわけです。

たまたま5K釜であったわけですが、それぞれの投入量での妥当な焙煎時間が、経験則から具体的に導き出されました。

ただそれは、ランニングコストなどの経営指数が背景にあって、あくまでも妥協したカッピングであったものでした。

しかし、妥協せずに、投入量を減らして、短時間化を突き詰めていくと、ある時間帯で劇的にカップは向上します。

シティローストでおよそ、13分~14分に至るペースになると、抜けるような明るさーブライト感が出てきます。フレバーも輪郭がはっきりとしてきて、その豆のテロワールが把握できてきます。

そして、何よりもマウスフィールの向上がなされます。奥行きがあって立体感があるストラクチャリーが出てきます。

ひと皮もふた皮もむけたーーーという表現のごとく、洗練されたカップになります。

《前回から今回にかけては、短時間焙煎を導入するための方法論です。今まで“低温短時間焙煎”と“高温短時間焙煎(一般的な短時間焙煎)”をごちゃまぜに語っていたので、多くの読者の方々に混乱をきたしていたようです。

まず、一般的な短時間焙煎を説明して、そのあとに低温短時間焙煎を説明していきます。》

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ある時ひょんなきっかけから、過去の膨大な焙煎記録の中から、短時間焙煎にチャレンジしていたころの記録群を見つけ出しました。

その中から偶然に、勉強会で恩師にお褒めをいただいたバッチの記録を発見しましたので、そのプロファイルをエクセルに要約します。

「indonesia.xlsx」をダウンロード
 
豆はインドネシア・スマトラのアチェ地方の通称マンデリンで、メルカンタからひっぱてきたものと思います。

焙煎時間は14分でフルシティ、最終の釜出し豆の表面温度は207.5℃になっています。

後半の豆の表面温度と釜の内部温度の記載が若干不備でしたが、できる限り前後の記録から抜けた数値を推測して記入しています。

ガス圧は記録がないのですが、投入から1分30秒前後に至った、豆の表面温度とその時の排気温度の中点は104.4℃と164℃ですが、投入から7分の時点で豆の表面温度166.4℃で、排気温度が204℃に上昇していますから、ある程度の強い火力で進行をさせていると推測できます。
その後、ファーストクラックから釜出しまでは、釜の排気温度を比較的安定させて、緩やかに上昇させています。

次回以降、低温短時間焙煎の詳細を示していきますが、投入からの6~7分後の排気温度と、ファーストクラックから釜出しまでの排気温度が全く違う流れであることがご理解いただけると思います。

それはまさに真逆で、短時間焙煎と低温短時間焙煎の違いが明白となり、そのことがどうカップに影響しているかを解明していきます。

「スイート、クリーン、スパイシー、アーシー、、、」恩師の口から発せられたコメントから、焙煎が出来た!と背筋が震えたことを今も思い出します。

まさにエポックメイクな出来事でありました。

僕も含めて当時のメンバーや、多くのスペシャリティロースターはこの短時間焙煎を習得して、現在にあります。

しかし、いまだ恩師の低温焙煎はその真実の姿を極められていません。
次回以降はその真実のを姿を現して行きます。

次回をご期待ください!

2016/08/02

短時間焙煎への挑戦 Ⅰ

前回は、低温短時間焙煎の全体の流れを鳥瞰しました。

その中で、前半の水抜き工程において、投入量が重要なポイントであったわけですが、今回はその理由を焙煎の経験から考察してみます。

以前スペシャリティコーヒーロースターを目指す勉強会の仲間で、富士ローヤルの5K釜に5kの豆を投入している仲間がいました。

メーカーの公称キャパ、目いっぱいに投入していたわけですが、カッピングと焙煎を繰り返した結果、焙煎のトータルは21分前後になっていたと思います。

これはこれで、当時の5K釜5K投入のベスト焙煎であったと思います。

販売量が爆発的に伸びていった僕たちは、ダイレクト輸入が故に商社ファイナンスに頼れるわけがなく、原材料の生豆の確保に資金繰りがとられ、四苦八苦していました。

そんな状況であれば、販売増に見合った焙煎機の新規購入は無理であり、当面は今の釜で頑張ろう!となるわけです。

ほとんどメンバーは、そんな状況にあって、投入量はできるだけ多く投入して、ランニングコストを抑えることに必死であったわけです。

そういうことから、「もしかしたら投入量を全面的に見直ししなければ、焙煎の核心には迫れないのでは?」と直感していても、投入量は聖域であり、減らすことなどはタブーであったわけです。

また、僕を含めて販売量がまだ少なかった仲間で、5k釜を所有する仲間では、ほぼ3k投入で焙煎のトータルは15~16分前後でした。

カッピングスキルが向上して、焙煎とカッピングを繰り返し、なおかつ勉強会で仲間の豆をカッピングをしながら、お互いの焙煎の工程を整合してきた結果ですから、5k釜で3k投入で15~16分焙煎もベストであったと思います。

(当時は深煎りが主流で、シティからフルシティの焙煎度でした。)
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5K釜での、5K投入の焙煎時間21分前後と、3K投入の焙煎時間15~16分前後の違いを、今ここで分析したいのですが、何しろ10数年前のことで、おおざっぱなデータしかなく、単純な比較はできません。 

しかし、データーを整理していると、驚くべき結果が出てきました。

それは、ファーストクラック以降の両方の後半が、ほぼ一致しているということでした。

ということは、投入からファーストクラックの差が、そのまま焙煎時間の差になっているということです。

当時は、恩師からー焙煎工程を前後に分けるという新しい焙煎ノウハウー提示された時期と、欧米ロースターの短時間焙煎が伝播してきた時期と重なっていますが、ほぼ全員がまだ従来の自前の焙煎で、カッピングと焙煎を必死に繰り返していた時期でした。

ですから、ここには“水抜き工程”とか“成分進化の工程”というはっきりとした工程意識はないわけですが、便宜的にファーストクラックまでを前半の工程として、それ以降からラストまでを成分進化の工程とすれば、まめの投入量の変化で、水抜けの時間が変化すると捉えてよさそうです。

多く投入すれば、長くかかり、少なければ短くてすむわけです。

これは焙煎とカップを繰り返して、検証してきた結果ですから、妥当な結果だと思います。
もちろん、後半の成分進化の工程が両方とも適正な進行であったことが、大前提にあることはお解かりいただけると思います。

さて、本題はここからです。

当時は上述したように、米国のスペシャルティコーヒーロースターの短時間焙煎が伝播しだした頃で、短時間焙煎へのチャレンジの時期でもありました。

僕の場合、ACEのポール・V・ソンガーさんの焙煎セミナーにヒントを得て、13分の焙煎を目指して、投入量の減量と釜の余熱の関係に没頭していました。

僕はメンバーの中では劣等生で、比較的に注文に追われる環境ではなかったため、投入量を減量(=バッチ数を増加)させても、余裕がありました。

その過程から得た結論は、5K釜では2K以下投入であれば、短時間焙煎が可能になるということを得ていました。

十分な釜の余熱を利用して、2K投入すれば、(適正な火力であれば)およそ1分半でボトムに達して反転します。その後9分でファーストクラックが始まり、13分でフルシティローストの完成です。

3K投入であれば、12分でファーストクラックが始まり、16分でフルシティローストの完成、5K投入であれば、17分でファーストクラックが始まり、21分でフルシティローストの完成でした。

焙煎とカッピングを繰り返して出てき結果からは、投入量を少なくすれば、短時間で水が抜けて短時間焙煎が可能であるということです。

3K投入で、釜の余熱を上げたり、ガス圧を上げたりして9分のファーストクラックを目指しても、上手くいきません。

それらはすべて、過激なカップになり、なんとなく直感として釜の限界を感じます。

強引に余熱や火力で調整しても、素直に豆が反応してくれない事態に直面するからです。
だからこそ、カップを繰り返すことによって、少し時間を長くして、12分前後にクラックが来る頃に落ち着くのです。

ここに釜の容量と投入量で、水がスムースに抜けていく関係があることが分かり、投入量を減量していけば、短時間焙煎が可能となるわけです。

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5K釜で5K投入と3K投入、そして2K投入のカップの違いは、それぞれが別個にカップの判断から妥当な範囲として“良し”としたのであったのですが、全体を2K投入のものから比較すると、マウスフィールやアフターにおいて圧倒的な差が出てきます。

特に水抜けに長く時間のかかったものは、ざらついたマウスフィールが目立ちます。

味覚の表現に“雑味”というものがありますが、まさにこれで、最初のインパクトでこれが出てきますが、他にフレバーや甘さのインパクトがよければかき消されてしまう要素でもあります。

特に、冷めてくると良い素材ほど、フレバーの特徴や甘さ、クリーンが際立ってきて、焙煎による“雑味”は後退してきます。良いオイル分が欠点をカバーしてくれる結果、カップは向上してくるわけです。
最初の嫌なインパクトがあっても、最終的には“美味しい”というカップが成立してしまいます。
 
焙煎の欠点をまさに素材がカバーしてしまうわけです。

そして、この現象は、多くの日本のスペシャルティコーヒーロースターに顕著に表れています。

そのほとんどは、大量投入によるカップの欠点(=焙煎の欠点)を認知することが出来なくても、一生懸命にスペシャルティコーヒーを拡販紹介するロースターです。

しかし、大量投入による焙煎の欠点を認知していて、しかも素材の良さがそれをカバーすることも認知している主流のスペシャルティロースターもいます。

いわゆる確信犯で、スペシャルティコーヒーとしての品質維持と、注文をさばかなければならない現状とを、上手く妥協していることが、カップからうかがえます。

ともあれ、焙煎を短時間化することによって、カップは向上します。

そしてその短時間化は、釜の容量から投入量が決定され、投入から9分でファーストクラックを迎えるのが、短時間焙煎のベストと思います。
 

2016/06/30

低温短時間焙煎:その鳥瞰

前回は豆の表面温度の進行ペースを変化させ、そのカップの変化から、最適な豆の表面温度の進行ペースを模索する焙煎の方法論を展開しました。

そのとき焙煎を前半と後半に分け、それぞれの最適な豆の表面温度の進行ペースを模索するのは、前半と後半のそれぞれの段階には目的があって、それを検証したいがためです。

まず前半はきっちりと水が抜けているかどうか?そして後半はきっちりと成分が進化しているかどうか?を検証します。

そもそも、カップによる焙煎の良否の判断は、水が抜けているかどうか?成分進化はできているかどうか?の2項目で判断します。

それは目の前のカップを2項目から判断するのであって、焙煎がどうやってなされたか?は、本来は問題としません。

しかし、素材の良否をカップする本来のカッピングにおいて、有能なカッパーは、その素材の生育から収穫、精製に至るまでの工程のどこに欠陥があるかを、見抜いてしまうように、焙煎の良否のカッピングにおいても、その欠陥が前半にあるのか、後半にあるのか、あるいはその両方にあるのかを見抜きます。

それは、産地に幾度も赴き、その生育、収穫、精製の問題点を探りながら、カップを繰り返すことのよって、カッピングスキルが構築されたからで、焙煎も焙煎とカップを繰り返すことによって、スキルが構築されたからです。

このように、焙煎のカッピングの2項目は焙煎の核心を突くもので、このカッピングコンセプトから焙煎を前後の工程に分けて、前半を水抜き工程とし、後半を成分進化の工程とする焙煎の基本コンセプトが導き出されたわけです。

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さて、焙煎を前半と後半に分け、それぞれの段階でカッピングによって、適正な焙煎ペースを導き出す、焙煎の根本原理を明らかにしましたが、それはあたかも2つの林を別々にみているようなもので、いまひとつ釈然としません。

しかし、それは全体としての森の全貌を鳥瞰することによって、初めて理解が出来ます。

全体としての森がどのくらいの規模なのか?その森と2つの林の連関はどうなのか?を理解することによって、焙煎の全貌が明らかになるからです。

森は2つの林からなり、思った以上に全体がコンパクトにまとまっています

森の規模は焙煎のトータル時間を意味しますが、それが短時間であるということです。

焙煎とカップを繰り返していると、短時間になればなるほど(適正な投入量であれば)、フレバーやブライトが輝いてくるからです。

短時間内にコンパクトにまとめ上げるのが上手な焙煎で、具体的にはライトローストからフレンチローストまでの5段階を、およそ10分から14分を経過するのがベストと思います。

森の入り口は、最初の一つ目の林の入り口でもあり、そこをおよそ8分で通り抜けます。

焙煎の前半の水抜き工程は、投入からおよそ8分内に水抜きを終えるのがベストで、投入から6分前後で豆の表面温度が167度の至り、その後2分で豆の表面温度が175度前後に至ると、豆はシュリンクして、匂いの蒸気が飛んで、水抜けのサインを出します。

そして、ここから2番目の林の入り口に入ります。

ここの入り口で、一気に釜の内部温度を上げて、1分後(投入から9分)にクラックが始まり、2分後(投入から10分後)に豆の表面温度が192度前後に至れば、ライトローストができます。

2つ目の林は、連続した5つのブロックに分かれていて、最初のブロックがライトローストで、2番目のブロックがミディアム、3番目がシティ、4番目がフルシティ、5番目がフレンチとなります。

それぞれのブロックは1分で通り抜け、そのたびにおよそ豆の表面温度が5度づつ上昇すると、成分の進化が適正になされるようです。

投入から11分で197度(ミディアム)、12分で202度(シティ)、13分で207度(フルシティ)、14分で212度(フレンチ)といったぐあいでしょうか。

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上記のような焙煎時間と豆の表面温度を、各々各自の焙煎機でトレースするためには、まずもって窯の内部温度をコントロールしながら、正確にトレースしなければなりませんが、うまくトレースできても、それだけではカップがよくなる保証はありません。

それはまず第一に投入量と窯の余熱が、水抜けの良否に大きくかかわっているからです。

そして第二に、通常の焙煎機のカロリーでは後半の進行が、正確にトレースできないからです。

焙煎が複雑になる主因がここあります。



2016/06/07

豆の表面温度による進行管理

852x1280 前回は、豆の表面温度を計測するセンサーの設置位置を特定しました。

より精緻な豆の表面温度を計測することは、焙煎を構築していくための必須の条件です。

そもそも、焙煎の構築は焙煎とカップの検証を繰り返しながら、より高いステージを模索していくことにほかなりません。

それは、豆の表面温度と時間をきっちりと管理して、豆の表面温度の進行=ペースが変化したときに、カップがどう変化したかを検証し、よりベストな豆の表面温度のペースを模索することです。

たとえば、前半の水抜き工程においては、投入から豆の表面温度が167度に至るまでのペースを変化させることによって、カップがどう変化するかを検証していくと、水抜けがベストのピンポイントの時間が特定できてきます。

167度という具体的な数字が突然出てきましたが、これは僕の思い付きから決めた温度で、165度でも170度でもかまいません。一度決めたら変更せずに、基準値としてこれを固定します。

この時点ではまだ水抜けも不完全で、窯の内部温度を一気に上げるタイミングではありません。あくまでも前半の最適なペースを模索するための基準値に過ぎないとご理解ください。

で、僕の焙煎機の場合、投入から5分30秒~6分00秒で167度に至るペースが、水抜けのベストぺースになります。

それより速いペースでは、カップはフレバーは強いのですが、滑らかさ(マウスフィール)に欠け、薄っぺらく=フラットで、若干の刺激的なアフターがボディと錯覚させます。

また、それより遅いペースでは、ブライト感が後退して、全体のトーンに翳りが出てきます。そのため、甘さや滑らかさも奥に引っ込んで、速いペースの時と違った意味でのアフターに媚びた嫌味があって、心地よくフィニッシュしません。

そして両者とも共通することは、ストラクチャリでないことです。(素材のカッピング項目のストラクチャは、素材そのものの持つ特性項目だけではなく、焙煎から左右される特性項目でもあると思います。)

以上のように、センサーが最適な設置位置であれば、正確な豆の表面温度を得ることが可能となり、微妙なカップの変化をとらえることが可能となります。

後半のドライディスティレーション(成分進化)の工程においても同じで、特定の豆の表面温度を固定して、そこに至るペースの変化から、最適な成分進化のペースを模索できます。

今までのわけのわからなかった焙煎が、原因と結果の因果関係がつかめてきて、その実態が少しずつ解明できてきます。

2016/05/27

温度センサーの設置

このブログを始めてから6年、最近は焙煎を数値で語ることの難しさを、つくづく感じています。

解り易くするために、具体的な焙煎時間とか豆の表面温度などの数値をあげて説明しても、それがかえって逆効果で、全く役に立たない!という現実を突き付けられ,愕然としてしまう日々です。

原因は、そもそも各自の焙煎機が多種多様で、それぞれの温度センサーが示す数値はみなバラバラだからです。そんな状況で、僕の数値をトレースしたところで、同じ結果が出るはずがないわけです。

これは最初から解りきったことでもあり、僕も承知していたつもりですが、改善されずよくならないといった不評が多く、改めて新たな方法論の必要性を感じました。

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思うに、恩師の下で勉強会に参加していた仲間どうしの焙煎議論では、こうした数値の差による違和感はなく、検証結果もほぼ一致していました。

焙煎機もローヤルの半熱風型や、東京の富士珈琲機械の半熱風型、プロバットの旧L型などで、カロリーや容量が大きく違っていても、例えば空だきした時の排気温度と豆の表面温度のセンサーが示す温度の相関関係は大まかに一致していました。

それは構造がドラム型で、ドラムの下にバーナーがあり、その熱量をドラムの上方より強制排気する構造が同じであったこと、そして豆の表面温度を精緻に計測するため、全員が意図的に同じ位置にセンサーを設置していたことが、最大の理由です。

排気温度(釜の内部温度)を計測するセンサーの位置はメーカーが違っても、その位置はほぼ同じで、かつ上記の構造上の類似から、ほぼ同じ数値を示します。

しかし、豆の表面温度のセンサーは、そもそも豆の表面温度というコンセプト自体、当時は希薄で、メーカーオプションがようやく設定されていた状態でした。

そして、オプションでオーダーしても、センサーの設置はひどくいい加減な設置で、焙煎機正面、シリンダーの軸受けのやや右下側に設置して納品されていました。

《画像① 真ん中(軸受け中央、右下)にあるセンサーがメーカーオプションのもの。上部の投入口付近のセンサーが排気温度センサー・下部の前蓋右にあるのが豆の表面温度センサー。》

この位置は、シリンダーが左回転の場合、撹拌され上部に登った豆が落ちてきて、再び撹拌される中継点で、豆の投入量をある程度多く入れないと、センサーは豆の中に埋没してくれません。

少量の投入量ではセンサーがむき出しになって、上から落ちてくる豆がぱらぱらとあたる程度で、正確な豆の表面温度は測定できないことになります。

このように投入量を変化させて焙煎する場合、表示される表面温度はバラバラで、正確な表面温度ではなく、まともな焙煎は出来なくなります。

焙煎の大前提である短時間焙煎を成功させるためには、投入量を調節しながら、窯の最適な実質的キャパを見つけなければなりません。

特に小型の焙煎機ほどメーカー表示のキャパはあてにならず、思いのほか減量して投入しなければ、窯の最適な実質的キャパを見つけ出すことができませんので、豆の表面温度センサーの適正な位置が最も重要であることは、お分かりいただけると思います。

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ということで、豆の表面温度を正確に測定するするには、焙煎機の構造上豆が最も集中する正面排出口(前蓋)にセンサーを設置しなければなりません。

P1040114 そして少量焙煎の場合でも、きっちりとセンサーを豆の中に埋没させるには、出来るだけシリンダーの内面壁側に近づけることが必要です。

出来れば前蓋を外して、其処に透明なアクリル板をくっつけて、実際に豆を投入してみれば、豆がもっとも集中する位置が特定できます。

其処にセンサーの先端が埋没するように、前蓋に穴を開けてセンサーを取り付けます。

このとき、センサーを差し込みすぎると、前蓋を開放するとき、センサーとシリンダーの内側が接触して前蓋が開かなくなり、笑うに笑えない状況になりますから、注意が必要です。

《画像②は前蓋を開放した状況を、冷却器の下側から撮影したものです。
前蓋からセンサーが突き出ている状態がお分かりいただけると思います。》

そして、もっと厄介なのは、シリンダー内部の撹拌用の羽とセンサーが接触してしまうことです。

僕の経験上、ここに至って、多くの方はほとんど諦めてしまいますが、ここからが焙煎に対する本気度が試される!と思ってください。

この難題をどう克服するか?!!!!!!

答えは簡単です。

センサーの接触するところだけ、グラインダーで羽をカットすればよいことで、以外に簡単な作業です。

配管工事などを手がけている町のガス屋であれば、前蓋にセンサーの取り付け用のタップを切ったり、羽をカットすることはお手のもので、ガスの取引があれば簡単に応じてくれると思います。

《画像③はグラインダーで削った画像です。撹拌用の羽(右隅)がカットされている様子がお分かりになると思います。
左のシリンダーと軸受けを連結するホイールの表面も削られていますが、センサーの感知面は先端の数ミリでOKだそうですので、これに当たるまで挿入しなくても、正確な豆の表面温度は測定できます。》

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P1040111 以前の焙煎機メーカーは以上のノウハウを蓄積していて、顧客からオプションの要望があった場合、以上の詳細な情報を顧客に説明できるかは大いに疑問でした。

手っ取り早く簡単に豆の表面温度を測定できる位置が、シリンダーの軸受けのやや下側にあったので、そこに取り付けたに過ぎないのです。

以前スペシャルティの御三家のディードリッヒの焙煎機も、こうした位置に温度センサーが取り付けてあり、唖然としました。

豆の表面温度の正確な測定の必要性は、ロースターからのフィードバックがあって、「****の位置に温度センサーを取り付けてください、*****が温度センサーに当たる場合は、そこを上手くカットしてください。」といった具合に、当初はロースターの特異なオプションに対応して設置されていたと思います。

ですから焙煎機メーカーとしても秘守義務のようなものもあって、なかなか表に出てこなかった経緯があると思います。

今では、スペシャルティコーヒーロースターの間では、〝暗黙の常識”になっていて、たとえばプロバットの中古を扱う専門店などでも、オプションで対応しています。

豆の表面温度を正確に測定することは、焙煎を精緻に構築するためには必須の項目です。

ぜひ設置をして,低温短時間焙煎にチャレンジしてください。

«低温短時間焙煎の再考

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