2017/08/29

ブログを引っ越ししました。

 
 
8月29日をもって、ブログ“焙煎日記”を僕のHPに引っ越ししました。

お手数ですが、下記のアドレスをクリックして入っていただき、“ブログ”の項目をクリックしてください。

https://www.third-wave-coffee.com/


このニフティのブログサイトと若干の表示の違いがあって、最初のうちは、読みなれない違和感もあると思いますが、宜しくお願いいたします。

多くの焙煎に興味のある方々が参加していただき、オープンに交流できるサイトにしていきたいと思っています。

今後の更新はHP上で更新していきますが、このニフティのブログはしばらくの間、このままの状態で継続させていただきます。
 
 
                    ブログ管理者   サードウェーブコーヒー:山本敦則

2017/07/31

恩師への手紙 Ⅱ

そして、もうひとつ大きな収穫があります。

それは“焙煎時間”です。

勉強会当時は先生の低温焙煎メソッドと米国のスペシャルティコーヒーから伝播した短時間焙煎が混在している状況でした。

僕を含めて多くのメンバーはこの両者のメソッドを比較検討していましたが、焙煎そのものは時間がかかると明るさが失われる傾向があり、スペシャルティコーヒーのライブリーでブライトな特性が活かされないことが分りました。

特に低温焙煎は注意をしていないと、時間をかけてしまう傾向があり、その結果カップが暗くなってしまいます。

当時“低い温度で豆の芯からじっくりと水を抜く”という、聞こえの良いフレーズがあって、だらだらと水抜きが長くなる傾向がありました。

この状況に、後半の成分進化で釜の温度を十分に上げられないと、さらに特徴のないただ暗いだけの悲惨なカップになります。

これと、高温短時間焙煎と比較カップすれば、高温短時間焙煎のほうが明らかに魅力的です。

生き生きとした明るさや、魅力的なフレバーに圧倒されます。

そのため、欠点であるアフターやマウスフィールの雑味が強調されている状況であっても、それを黙認してでも高温短時間焙煎を選択してしまいます。

しかし、この雑味はエスプレッソの抽出においては、最悪の状態を作り出してしまいます。

エスプレッソ自体がコーヒーのエッセンスを抽出するため、欠点もより大きく強調してしまうからです。

エスプレッソの抽出の操作方法が、すっきりと統一できないのは、この焙煎による雑味が原因で、純粋な抽出論理とこの雑味をいかに出さないかの方法論が、混同してしまっているためで、この雑味さえなくなれば、もっと単純明快に抽出論理が統合できるはずです。

僕は低温焙煎にこだわりつつも、短時間焙煎も並行して検討していましたが、やがてこの二つを上手く合体させる着想を思いつきました。

短時間焙煎の明るくスカッとした特長を活かし、その欠点であるアフターやマウスフィールの雑味を低温焙煎のノウハウを応用することによって、改善できるのでは?と、、、

低温焙煎でいつも失敗するのは、焙煎時間が長くなること、そして成分進化に必要な釜の内部温度に素早く立ち上がってくれない(=豆の表面温度の進行が速く立ち上がってくれない)ことでした。

ですから、低温焙煎を成功させるためには、水抜きの時間を短くして、水が抜けたら釜の内部温度を早く立ち上げればよいわけです。

短時間焙煎があくまでもメインで、それに低温焙煎のメソドを組み込むという発想です。

短時間焙煎の長所はそのままにして、欠点であるアフターやマウスフィールの雑味を、低温焙煎メソドを組み込むことで解消できるのではないか、ということです。

釜の内部温度をすばやく立ち上げるには、バーナーの増設というハード面でクリアーできますが、前半の水抜き時間を短くするには、内部温度を高く持っていかなければならず、こうなると“低温”焙煎ではなく高温短時間焙煎に近くなってしまいます。

しかし、そもそも高温とは何度で、低温とは何度を言うのでしょうか?

あくまでも相対的な意味で、高温短時間焙煎の温度帯に対して、低い温度帯だから低温焙煎と表現していると解釈すれば、もっと内部温度が高くても良いように思えます。

Photoなぜこんな発想をしたかというと、サンプルロースターでの低温焙煎が上手くいくのは、自然排気のため、火力を抑えて一定にしていても意外に高い温度帯で推移しているからではないかと、推測したからです。

本焙煎においては、強制排気がゆえに、どうしてもカロリー不足に陥って時間がかかってしまいました。

これを短縮していくためには、釜の内部温度を上げるしかありません。

いろいろな温度帯を模索しましたが、具体的に一番効果が表れたのは、180℃前後で推移する温度帯でした。

もちろん水抜き工程で、この温度帯を一定にする場合、投入温度によって前半の時間は大きく変化します。

高温短時間焙煎と一致させようとすれば、投入時の内部温度を230℃前後まで持っていくことが必要になります。

これは、高温短時間焙煎の投入時の内部温度が210℃前後であるため、かなり高い温度で投入することになりますが、その後の内部温度を180℃前後に収拾させて一定にするため、急激に進行しようとする豆の表面温度が徐々にペースダウンして、最終的には高温短時間焙煎と同じペースに落ち着くことになります。

その後は、高温短時間焙煎と同じ後半の成分進化のラインをトレースすれば、低温焙煎を取り込んだ短時間焙煎=“低温短時間焙煎”が出来ます。

投入から7分で豆の表面温度が167℃の至り、その後8分40秒前後に水が抜け、すかさず釜の内部温度を急上昇させて、11分で豆の表面温度が191度前後に至れば浅煎りが完成します。

カップは明らかにアフターやマウスフィールの歪さが見事に解消されることによって、アシディティ・スイート・フレバーの質が改善されました。特にブライト感が鮮やかになり、フレバーの輪郭がはっきりとしてきて、テロワールの表現が出来るようになったことは驚きでした。

ただ若干スイートやボディが不足気味で、このためストラクチャが若干欠けたフラットな印象も拭い去れません。豆自体の劣化も早く、3~5日ほどたつとボディが抜け落ちてしまった印象が強くなりす。

3~5日後のカッピングにおいてもブレイク以前に、表層の粉が沈んでしまう現象が顕著になってきます。ジョージ・ハウエルの豆もこの傾向が顕著で、短時間焙煎の浅煎りの欠点であるとおもいます。

以上のことから、浅煎りであってももう少し時間を延長すれば、トータルカロリーの増加によって、上記の欠点は解消されると推測されます。

12分で196℃・ミディアム、13分で201℃・ハイ、14分で206℃・フルシティ、15分で211℃・フレンチに至りますが、カップからフレンチが一番好印象です。スタバと同等なパフォーマンスを示します。

11分の浅煎りと15分のフレンチと比較することは無謀のように思われますが、トータルバランスという観点からカッピングを試みれば、明らかに15分のフレンチのほうが勝ります。

14分のフルシティと15分のフレンチにしてみても状況は同じで、トータルバランスという観点からは明らかに15分が勝ります。

ロースティングの差がもたらす、印象度の違いははっきりと確認できますが、それを踏まえて真っ当な飲料としてのトータルバランスが良いかどうかということも、重要なポイントとなります。

前半の水抜き工程を、投入から7分で豆の表面温度が167℃に至る工程に固定すれば、その後は成分進化の法則に従って、浅煎りから深入りまで、1分ごとに5度上昇させていきますから、ローストの度合いによって焙煎時間が長くなっていきます。

そもそも浅煎りほど時間が短く、深入りほど時間が長くなるのは焙煎の常識としてとらえられていますが、どうやらこの常識を覆すことが、焙煎の核心に迫ることになりそうです。

11分の浅煎りの欠点を改善するためには、焙煎時間を少し延長することによるトータルカロリーの増加で解決する直感をカッピングから得ましたが、これも前半の水抜き工程を自在に動かすことが可能となったからです。

水抜き工程を1分延長することによって12分で191℃の浅煎り、2分延長で13分で191℃の浅煎り、、、が出きます。

これは前半の水抜き工程の特徴で、投入から豆の表面温度が167℃に至る時間が、7分以上の場合、そこからおよそ1分40秒の時点でシュリンクが始まり水抜けが完了します。

7分の場合は8分40秒、8分の場合は9分40秒、9分の場合は10分40秒で水抜けのサインが出ます。

それぞれ、投入時点での釜の内部温度を低くしていくことによって、豆の表面温度が167℃に至る時間を調整していきます。

後半の成分進化のパターンは決まっていますので、トータルの焙煎時間も前半が延びた分だけ伸びることになります。ただし、水抜けの時間が伸びた分、というか焙煎時間が伸びた分、余分にトータルカロリーが与えられるわけですから、同じ豆の表面温度・浅煎りでも焙煎度は若干違ってきます。

11分の豆の表面温度191℃の浅煎りから、前半を1分延長して12分の豆の表面温度191℃の浅煎り、そしてもう1分延長して13分の豆の表面温度が191℃の浅煎りを比較カップすることが可能となったわけです。

そして、さらにエスカレートして14分と15分の豆の表面温度191℃の浅煎りを比較カップした時、15分焙煎の懐の深さに驚きました。

全体のバランスが均衡して、浅煎りの飲料としての真っ当さが表現されています。特にマウスフィールが抜群で、その原因はストラクチャリが表出されているためと思われます。

14分の浅煎りは、おそらくカッピングや競技においては多くの評価を集めると思います。

カッピングにおいて、ドライ・クラスト・ブレイクにおいて、これぞ浅煎りの定番!と大きな印象をもたらすためです。

しかし、冷静に15分のものと比べれば、14分は邪道のごとく雲泥の差を、マウスフィールを得意とする先生なら感じて頂けると思います。

ファーストインプレッションとトータルバランスにおける差を、冷静にマウスフィールの次元で判断できることが必要と痛感しています。

他の焙煎度においても、15分の焙煎時間がもたらすバランスの良さは、他の時間のものを圧倒するほどの印象をもたらします。

例えば、低温・短時間焙煎における13分のハイローストを、前半を1分延ばすことによって、14分のハイローストが出来ます。また、2分延ばすことによって15分のハイロースト・3分延ばすことによって16分のハイローストが出来ます。

この4つのハイローストを比較カッピングすれば、焙煎時間がもたらすトータルバランスをも含めた総合評価が可能となります。

13分・14分はフレバーの好印象をもたらしますが、やはり15分の落ち着きのある、懐の深さにはおよびません。

16分に至ってはストラクチャリやスイートが急激にスポイルされることで、繊維質がむき出しとなって、ビターやアストリンジェント=雑味が出てきてしまいます。

特にシティロースト以上の、深くなればなるほど16分以上の焙煎は、むき出しの繊維質によって、飲むに堪えれないカップになります。

このように浅煎りや、ハイローストに限らず、すべてのローストにおいて15分の焙煎が、その完成度を表出しているカッピングの結果を得ています。

このことはまだ、ブログ“焙煎日記”に書いていませんが、いずれまとめて公表していかなければいけないと思っています。

今、ブログを僕のHPに移設する作業をしています。

HP自体を焙煎に特化して、多くの方が交流できる場所としていこうと思っています。


猛暑が続きます。お体ご自愛くださいませ。

                                                  敬具

2017/06/18

恩師への手紙

拝啓、先生いかがお過ごしでしょうか?

こうして手紙を書いていると、以前のように用語や文章表現について、こと細かくビッシッと研削された返信を頂くようで、なんとなく躊躇しています。

でも、そんな返信をいただければ、先生はご健在であるということではないか!と思いなおし、記憶を遡って書いています。

早速本題に入らさせて頂きます。

もう10年以上も前でしょうか、おそらく僕かS氏のところで勉強会があったときです。

いざ焙煎に入るために、釜を温めようとして、焙煎機を空焚きした時、「なぜ、焙煎機を温めるのですか?」と先生は詰問されました。

思いもかけない、と言うより、覚悟していた詰問に反論できなかったことを思い出します。

「あれほど説明したのに、貴方は理解しているのですか?」といった先生の落胆の感情が伝わってきたのと、しかし先生に教えて頂いたノウハウでは、うまく焙煎できない現実をどう伝えてよいかを躊躇してしまったからです。

先生からご指南いただいたノウハウ、すなわち低温焙煎のノウハウは、●焙煎工程を前半と後半に分け、前半を水抜き工程とし、後半を成分進化の工程とする。●前半は低い釜の内部温度で水抜きをして、●後半は釜の内部温度を一気に上げて成分進化を即す。、、、というものでした。

そして、●水抜き中は釜の内部温度をできるだけ上下させずに一定させる。そして水抜き時間はいくらかかってもかまわないという条件でした。

カッピングコンセプトから導き出された、この画期的な低温焙煎ノウハウは、当時焙煎の迷路にはまりこんでいた僕たちにとって、まさに救世主でした。

先生がサンプルロースターで行ったデモは衝撃的でした。

焙煎開始から、か細い炎でジ~~と水を抜いていき、かなりの時間がたった後、サンプルスプーンで水抜けの状態を鼻で感知して、水抜けを感知したら、すぐさま火力を最大にして成分進化を即して、1ハゼ手前あたりから火力を絞っていき、最後は色合いをみて、好みのところで終了するというものでした。

まさに焙煎コンセプトを具体化した解かりやすい焙煎方法でしたが、正直にもうしますと、このノウハウを本焙煎に適応しても上手く煎ることが出来ませんでした。

他のメンバーたちは何度となくトライしても上手くいかず、当時を前後して伝播してきたアメリカのスペシャルティコーヒーロースターの高温短時間焙煎にシフトしていきました。

ライトからフルシティ、フレンチまで、およそ11分~15分で焙煎するこの高温短時間焙煎は、今では国内の真っ当なスペシャルティコーヒーロースターたちに焙煎の定番として普及しています。

というより国内の真っ当な焙煎業者にも、スペシャルティコーヒーがどうのこうのといわれるずっと前から、高温短時間焙煎は定着していた事実から考察すると、焙煎の定番みたいなもので、たまたまアメリカや欧州のスペシャルティコーヒーロースターと一致したにすぎないと思います。

そういう意味では、世界標準の定番としての焙煎ノウハウであり、たまたま国内の焙煎ノウハウに関しての閉鎖的な体質が、スぺシャルティコーヒーの伝播で切り崩され、多くの新規参入ロースターに広く認知されるに至ったということだと思います。またネットの普及もその背後にあると思います。

ただ、高温短時間焙煎は先生も十分ご承知のとおり、フレバーやスイーツが表現されても、アフターやマウスフィールが歪で、特にエスプレッソではその欠点がもろに出てきてしまいます。

他の抽出領域(ペーパードリップ、etc)では、その欠点が出てきても、最初の違和感は飲んでいる途中から、慣れてしまって違和感が薄れてきますから、エスプレッソが主流の国以外では、この欠点の認識はさほどなされなかったと思います。

また、エイジングという手法がエスプレッソでもてはやされるのは、違和感が時間経過による劣化によって減少したからにほかなりません。これは単に聞こえの良いフレーズであって、正道ではありません。

ですから、この欠点を認識して、エスプレッソそのものを焙煎から再考察して、構築された焙煎ノウハウが欧州、特にイタリアを中心にして発展してきたと思います。一部の欧米のロースターはこのことを認識していて、密かにノウハウを伝承してきたと想像できます。

先生の提案された低温焙煎ノウハウはまさにこのノウハウであった思うのです。


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さて、この低温焙煎ノウハウがサンプルロースターで上手くいき、本焙煎で上手くいかないのは、なにが原因であるか?と僕は必死で考えましたが、高温短時間焙煎と比較すればその解答は見えてきました。

高温短時間焙煎はピンポイントで、投入からの焙煎時間と豆の表面温度を一致させていけば完成します。

特に後半の11分以降から豆の表面温度をしっかりと管理することがポイントですが、この後半のペースを低温焙煎のノウハウで実行すると、ほとんどの焙煎機が火力不足で、後半の11分以降の豆の表面温度の展開が不可能になります。

そんな低温焙煎では”火力不足”の焙煎機でも、高温短時間焙煎が可能なのは投入から5~7分で高い内部温度を確保しているからで、それを維持しながら余裕を持って豆の表面温度のペースをコントロールできるからです。

それに対し、低温焙煎は低い内部温度で推移するため、いざ水が抜けた段階で釜の内部温度を上げて、豆の表面温度を時間内に上げようとしても、釜の火力が結果として脆弱で、思うように上がってくれないのが現実でした。

そもそも、サンプルロースターと本焙煎用のロースターは同じよう構造(シリンダーやバーナーの構造・容量)なのに、なぜサンプルロースターが低温焙煎が可能なのか?という素朴な疑問は、まさに排気構造に原因があると思うのです。

サンプルロースターは強制排気ではなく、あくまでも自然排気であり、火力を上げれば想像以上に豆の表面温度の上昇につながっていることが要因であると思います。

また、多くの場合シリンダー容量に比べ投入量は少なめで、かつ水抜き工程ということで、ガス圧が控えられていても、自然排気のため想像以上のカロリーが豆に供給されていると思われます。

そして、実際にサンプルローストでまともなカップが出てくるのは13~15分であったと思います。

浅煎りでこの時間帯であることは、かなりのカロリー供給で、まさに短時間焙煎に近くなっています。

サンプルローストのイメージから強制排気の焙煎機で本焙煎をすることが、そもそも間違っていたようです。

強制排気でガス圧を控えて、ただダラダラと時間をかけていただけだったので、爽やかさや明るさも失われた結果となりました。

また、後半でも釜の内部温度が低すぎて、速やかに上がりにくいということで、成分進化がお粗末な結果となりました。

以上の検証から、強制排気の焙煎機で低温焙煎を行う場合は、更なるバーナーの増設とダンパー操作の工夫によって、解決できることが見えてきます。

また、前半の水抜き工程も、ある程度の強いガス圧が必要ではないかと推察されます。具体的には、水抜け手前の段階で内部温度が180度前後で推移していけば、サンプルロースターの前半と同じ推移となると思います。

高温短時間焙煎での、この段階では200℃以上になっており、低温焙煎の180℃前後との差がそもそも、“低温”という呼称になっているということです。

僕はここに至って、バーナーの増設を決意して、バーナーを増設しました。

どのくらい増設すれば、高温短時間焙煎の後半をトレースできるかはわかりませんが、とりあえず町の知りあいの鍛冶屋さんに依頼して、メーカーから取り寄せたチップとバーナー12本を、焙煎機の内部に納めていただきました。

もちろんこの12本のバーナーは本体のバーナーとは別のガス源にして、必要なときにONできるようにしました。

かなり過激なカロリーになりますが、その結果は劇的な効果を確認できました。

とにかく、速い時間内に釜の内部温度が立ち上がり、その結果として、豆の表面温度が11分の時点で191℃前後にいたることが可能となりました。

このように書くと、バーナーを増設した結果すぐに低温焙煎が可能になったと、思われますがそうでわけではなく、かなりの紆余曲折がありました。

釜の内部温度をどこまで引き上げてよいか?(内部温度の最大値)とか、投入量は?デベロップメントサイクルは高温短時間と同じでよいか?水抜けの判断はいつが良いか?豆の産地の標高やクロップの差(=硬度の差)によってどう変化するか?、、、とかさまざまな課題があって、それを一つ一つ詳細にカップをとりながら判断しなければなりませんでした。

このあたりの詳細な経過報告は僕の“焙煎日記”お読みくだされば幸いです。

ここで重要なのは、こうした紆余曲折による検証も、バーナーの増設で釜の内部温度が速やかに上昇することが出来たから可能であって、バーナーの増設がなかったら、すべての検証が不毛になったことです。

まさに低温焙煎においては、必要なときに圧倒的な火力を引き出せる焙煎機が大前提であることがわかりました。

これは先生がとくに強調していた点で、それを実証できました。

2017/06/02

デベロップメントサイクル(補足Ⅱ)

投入から豆の表面温度が167℃に至る時間が6分から、7分に延長した時、劇的な変化が訪れました。

1分延長したのは、6分だと水抜けがなんとなくしっくりいかないと判断したからですが、後半の成分進化の工程をきちっりと同じにすれば、その判断が正しかったかは、カップに如実に現れてきます。

結果として、クリーンカップが出てきましたから、判断は正しかったわけです。

それよりも思いもかけずに得た収穫は、水抜けのタイミングが若干早くなった結果、早めに釜の内部温度を引き上げることが出来、成分の進化をより適正に進化させることが出来きたことです。

6分の場合,水抜けは2分後の8分前後に完了しますが、1分延長して7分の場合、水抜けは同じように2分後の9分前後ではなく、若干前倒しになって、8分45秒前後になります。

このことは、通常より15秒も早く釜の内部温度を引き上げることができ、釜の内部温度の上限の230℃まで早く到達することができます。成分の進化をより高い温度で、かつ長く即すことができ、風味特性を向上させることが出来たわけです。

このことから、もっと早く水抜けが完了することができれば、より早く釜の内部温度を引き上げることができ、理想的な風味特性を表現することが可能となるはずです。

例えば8分30秒前後で水抜けが完了すればよいわけで、そのためには水抜きの工程をさらに延長すれば可能性が出てきます。

延長は豆の表面温度が167度に至る時間を1分ずつ延ばしていけばよく、たとえば、8分で167度に至らせたとき、水抜けが9分45秒前後ではなく、9分30秒に前倒しになっていれば成功です。

このときトータルの時間は12分で、水抜き工程を1分延長した分だけ長くなるように、成分進化の工程をきっちりと同じにすることがポイントです。

さらに1分ずつ延長していけば、トータルで13分、14分と延長していくわけですが、これではもはや“低温短時間焙煎”とはいえなくなってきます。

焙煎のトータル時間が違ってきても、焙煎度合いは少ししか変わっていません。それは延長は前半のみで、後半はきっちりと同じ進行を守っていることからですが、適正な焙煎時間、、、そう、焙煎度合いから開放された、焙煎そのものの適正時間はあるのか?という究極の課題も視野に入ってきました。
「purofairu.xlsx」をダウンロード


添付のファイルは投入から7分で豆の表面温度が167度に至るペースのプロファイルで、Aが9分の時点で釜の内部温度を引き上げたもの、Bが8分45秒で、Cが8分30秒で引き上げたものです。

7分の時点でカウントして、4分後の11分で豆の表面温度が191~2度前後に至るようにコントロールしていくわけですが、その間に水抜けのタイミングを確認してから、火力を最大にして釜の温度を引き上げていくという作業を伴いますので、水抜けが奥に行くほど、残された時間は非常にタイトになり、成分進化が十分ではなくなってきます。

ファイルは水抜けとは関係なく、機械的に9分・8分45秒・8分30秒で内部温度を引き上げたものですが、今までの経緯からAもBも水抜けが完了していることは、お解かりいただけると思います。

まずここで注目していただきたいのは、内部温度の引き上げの最大値である230度に至るまでの時間差と、投入から9分の時点での内部温度の差です。

最大値230度というのは、それ以上の内部温度では成分進化が歪になり、アフターやマウスフィールが刺激的になります。

Aの場合、10分になっても230℃に至りません。9分で火力を上げるのは遅すぎるわけですが、これを改善しようとすれば、バーナーをもっと増設して、BやCのように9分40~50秒台にいたるようにすれば解決するように思いますが、ところがどっこい上手くいきません。

バーナーを増設した結果、9分50秒で230℃に至っても、過激な火力が豆の表面を必要以上に焼いてしまい、その結果、風味特性をマスキングして、刺激的なアフターやマウスフィールを作り出してしまいます。

こうした強力な火力の場合、10分で240℃以上に至りますから、カップから「240℃はだめ!」と判断しますが、直接の原因は過激すぎる火力であることが分からなければ焙煎は見えてきません。

火力が過激すぎる場合、内部温度が230℃に至る過程ですでにマスキングが起こってしまっているからです。温度表示では解釈できない一端がここにあります。

僕の場合、過激すぎる火力から、一本一本バーナーを減らしていって、最大火力でもマスキングが起こらないバーナーの最大本数(投入量で変化します)を導き出していきました。

そして、釜の内部温度が230℃になったら、それ以上には上昇させないようにガス圧を落としていきます。それ以上だとカップがやはり歪になるからです。

当たり前ですが、内部温度と時間経過によって成分の進化は左右されているからで、この意味では数値を基準にしていかなければなりません。

また、ブラジルのナチュラルのパーストクロップやドミニカのナチュラルは最大値を220~225℃に抑え、すぐにガス圧を下げていきます。こうしないと豆の表面温度の進行が急激に進行してしまい、11分で191℃前後というデベロップメントサイクルが崩れてしまうからです。

焙煎が迷路のようになるのは、このように原因が複雑に絡み合っているからです。

そして、今回の最大のテーマですが、投入から9分の時点での釜の内部温度が成分進化に大きく作用しているようです。

釜出しの11分まで2分の猶予がありますが、Aの場合、この時点で釜の内部温度を引き上げていきますから、内部温度は180℃前後です。そしてBは189℃、Cは199℃に至っています。

それぞれこの約10℃の差が、それぞれの成分の進化に決定的に作用することになります。

Aは明らかな進化不足のカップが出てきます。ドライ・クラスト・ブレイクでは遜色のない印象ですが、スイート・フレバー・マウスフィールでは印象が薄く、特に口から鼻腔に抜けていく、フレバーの印象がスポイルされてしまっていて、コーヒー自体の存在感が薄れています。

かつて恩師がよく「クットこない、、」といわれましたが、まさにこのことを表現していて、焙煎の工程に何らかの成分進化の工程を意図を持って焙煎しないと、単なるベイクドに終わってしまうことを警鐘していました。

Aの場合は成分進化の意図はあっても、あまりにも立ち上げが遅すぎるわけです。

Bはずいぶんと改善されてきます。特にフレバーのたちあがりよくなり、甘さやマウスフィールも改善され、ストラクチャリーな奥行きも出てきます。

Cになると、さらに質感・マウスフィールにおいて、オイリーなのか、ミルキーなのか、といったその詳細が認識できる次元に至ります。
ただ、水抜けと火力のアップが紙一重で逆になった場合、クリーンカップがスポイルされる危険性が多分にあります。
低温焙煎においては、常にこの危険性と隣り合わせであるわけです。
次回からはこの問題も含めて、“究極の焙煎時間=15分焙煎”にせまってみたいと思います。

2017/04/27

デベロップメントサイクル (補足)

投入からおよそ7分で、豆の表面温度が167℃に至るペースで焙煎を進行させ、11分で豆の表面温度が192℃前後に至って終了すれば、浅煎りの焙煎が完了します。
以後、1分後の12分には197℃前後、2分後の13分には202℃前後、といったように1分に5℃上昇させていけば、適正な成分進化・デベロップメントが達成されます。

、、、、、たった4行の文章にすぎませんが、これはまさに短時間焙煎の核心を語っています。

しかし、賢明なる読者なら、釜の内部温度については一切触れていないことにお気づきと思います。

具体的な焙煎作業は、上記の豆の表面温度の進行を達成するためには、どう釜の内部温度をコントロールするかです。

釜の余熱・投入温度・釜の内部温度のボトム・そして釜の内部温度の推移を操作しながら、上記の豆の表面温度の進行を適正にコントロールするわけですが、これには千差万別の方法があることはお解かりいただけると思います。

Photo このブログでは最初に、一般に普及している高温短時間焙煎を示し、その次に低温短時間焙煎を示しました。

両者は上記の豆の表面温度の展開は同一ですが、釜の内部温度のコントロールは大きく違っていました。

(プロファイルの赤と青の点線をご覧ください)

高温短時間焙煎は投入から絶えず釜の内部温度を引き上げながら、その勢いで豆の表面温度を引き上げていき、後半は釜の内部温度を押さえながら、豆の表面温度の進行をコントロールします。

後半の成分進化の段階では、釜の内部温度が十分に上昇(200℃以上)しているため、豆の表面温度が急激に進行しやすいからです。

低温短時間焙煎は高い投入温度で投入して、釜の内部温度のボトムを高くして、その分内部温度を低めに、かつ一定にして豆の表面温度を引き上げていきます。

そのため豆の表面温度は水抜き中盤から徐々に上昇ペースを落としていきます。

やがて、投入から7分で、豆の表面温度が167度に至りますが、ここで注意が必要なのは、まだこの段階では水は抜けていないことと、この時点で、後半の成分進化のペースを検証するために、ストップウォッチでカウントします。

高温にしろ低温にしろ、短時間焙煎の成分進化の法則は、デベロップメントの実相で示しましたように、投入から釜出しまでの時間がきっちりと決まっているので、あえて後半からカウントしても意味がないように思いますが、成分進化の微妙な変化を探ることによって、その実相を理解することが出来ます。

(高温短時間焙煎の場合も、7分で豆の表面温度が167度に至っていますが、改めてカウントはしません。そもそも焙煎工程をはっきりと分けているわけではなく、投入からのカウントで成分進化の検証をしているからです。そして、このことが高温短時間焙煎の欠点の原因であるわけです。)

引き続き、釜の内部温度を180度前後に維持したまま、水抜けを注意深く探っていきます。

そして、カウントから1分40秒~50秒(投入から8分40秒~50秒)ころに至ると、豆がシュリンクして、水抜けが確認できます。すかさづ火力を全開にして、釜の内部温度を引き上げます。

(高温短時間焙煎の場合は、このように厳密に水抜けを把握していませんが、7分で豆の表面温度を167度に至らせ、8分、9分、10分、と豆の表面温度の上昇ペースをコントロールしながら、11分で豆の表面温度が191度前後に至らせて、浅煎りを完成させます。)

このタイミングを逃して後手にまわったら、成分の発達が不十分で、印象の薄いカップになります。

具体的には、およそ投入から8分50秒前後以降からの引き上げは、成分進化の遅れの原因になります。

これはカッピングと後半からのカウントで初めて解明できたことです。

以前、投入から6分で豆の表面温度が167℃に至るペースで検証していましたが、クリーンカップに欠けるため、水抜けの問題と判断して、1分延長して7分で167℃に至るペースにしました。

前半だけの延長で、後半の成分進化の段階はそのままですから、トータルの焙煎時間は1分伸びるだけです。(後半からのカウントを6分から7分にして、釜出しは浅煎りでトータル10分から11分になります。)

カップはクリーンカップになりましたが、まだスイーツやフレバーのボリュームが足らない印象でした。

1分の延長で、水抜けが良くなったことは明白ですから、延長前の6分では水が抜けきっていなくて、芯に残っていたと判断できます。

水抜けの判断も、6分の場合は8分前後(カウントから2分)で水抜けでしたから、7分の場合は9分前後を注意して探っていましたが、速いものでは8分30~40秒でシュリンクして、45秒前後に水抜けが確認できました。

最初は半信半疑で、定番どうり9分で引き上げていたのですが、1分延長は水抜けがそのまま1分延長するのではなく、少し早い段階で水抜けが出来てくるようです。

「もしかしたら!!」と直感して、8分45秒で釜の内部温度をすぐに上げて検証しました。

不足していたスイーツやフレバーのボリュームが増し、詳細なテロワールも確認できるようになりました。特にマウスフィールの領域において、その特性のオイリー・ミルキー・シルキー、、、といった感触の差が確認できるレベルになり、衝撃的なカップになりました。

クリーンカップはそのままですので、きらきらと輝くカップに、印象的な風味特性やその余韻を感じながら、アフターは心地よくフィニッシュします。

この9分と8分45秒の劇的な差はなぜなのか?は火力を上げてからの、釜の内部温度の推移が大きく作用しています。

このあたりが低温焙煎の火力を引き上げて、なおかつ成分進化が後手にまわらないピンポイントがありそうです。

7分で後半をカウントして、11分の釜出しということ、そしてその間の4分内に、豆の表面温度の上昇は167℃から191~192℃に上昇しなければなりませんが、水が抜けてから火力を上げられる、、、という制約がついています。

この制約は低温焙煎の宿命で、水が抜けなければ釜の内部温度は引き上げられないというカップの検証からの命題があるからです。

7分でカウントして火力を上げて、4分後に167℃から192℃に25℃上昇させるのは通常の焙煎機でも可能です。
これはちょうど、投入温度が高すぎたため、内部温度を抑え気味にして、豆の表面温度の進行をコントロールしながら、途中から後手に回るのを避けるために、釜の内部温度をあげていく、高温短時間焙煎と同じです。

投入から7分で167度の時点ではまだ水が抜けていないため、この時点から内部温度を上げていくと、雑味のある飲みにくいカップになります。

7分からのカウントはデベロップメントサイクルを確認するためにカウントをするだけで、水抜けとはなんら関係ありません。

さて、話を先に戻しますと、7分のカウントから注意深く水抜けを観察して、9分で内部温度を引き上げと、8分45秒で引き上げの内部温度の推移を比較してみます。

2017/04/06

デベロップメントサイクル

前々回は、低温短時間焙煎の後半の成分進化(デベロップメント)の法則を探ってみました。

後半は、水抜きが完了したら、釜の内部温度を上げ、豆の表面温度の進行時間を変化させて,最適なロースティングポイントを見つけるわけですが、そこには重要な法則がありました。

通常、低温焙煎の場合、水が抜けてからストップウォッチをスタートさせて、後半のポイントを探っていく方法がベストと思われますが、この方法はどうもしっくりいきません。

水抜けの判断によって、スタートがまちまちで基準点が前後してぶれるため、正確なロースティングポイントを探ることができないためと思われます。

そこで、水抜けとは関係なく、どこかに一定のスタート地点を決めて、其処から最適なロースティングポイントを探ることで、糸口がつかめてきました。

スタートがぶれないため、後半の進化の時間と温度変化を正確に測って、カップを精査していくと、カップの変化がわかってきます。

突き詰めていくと、豆の表面温度が167度にいたってから、4分後に表面温度が191~2度前後で終了すれば、浅煎り=フルフレバーローストが出来上がります。

Photoこの場合、 投入から7分で表面温度が167度に至るようにすれば、高温短時間焙煎とまったく同じトータル時間となります。

(左のプロファイルは以前示した高温短時間焙煎と低温短時間焙煎を合体させたものです。)

この結果、たんに投入から時間を計測すれば済むことで、何ら難しく考えることはなかった結果となります。

しかし、このことは成分のデベロップメントはもっと早い段階、すなわち水抜け以前の段階で始まっていると捉えることもできます。

水ぬきの工程の段階で、デベロップしながら水が抜けていく・・・・・とイメージしていただければよいと思います。

焙煎を前半の水抜きと、後半の成分進化に分けるコンセプト自体は、焙煎を解かりやすく把握するにはいいのですが、これに厳密にこだわりすぎると、これもまた焙煎の迷路にはまり込むことになります。


水が抜けてから、成分のデベロップメントが始まると厳密に解釈して、其処から最適なロースティングを探ってもなんら回答は出てこないわけです。

むしろ水抜け以前のもっと早い時点からデベロップは始まっていて、そのあたりを基準点として固定して、最適なロースティングポイントを探っていけば、その最適解が得られます。

固定する基準点は豆の表面温度が150℃でも160℃でも良く、一度決めたら変更せずにその基準点から釜出し迄の時間と温度を検証していけば、良いわけです。

ただ、水抜けのペースも管理していかなければならないため、僕はもう少し後の豆の表面温度が167℃あたりを基準点にしています。

投入からその167℃までのペースをしっかりと管理して、水抜けを精緻に進行させ、167℃になったら今度は釜出しまでのペースを管理して、ロースティングポイントをはずさないようにすれば、焙煎の管理としてはほぼ完璧になります。

ここで、注意していただきたいのは、167℃の時点ではまだ水も抜けていないし、成分も未発達で、いわゆる水抜けと成分進化の曖昧なグレーゾーンということです。

このあたりを基準点にして、投入から基準点までの時間を操作して、最適な水抜けのペースを模索し、基準点から釜出しの最適なロースティングポイントを模索するのが焙煎の醍醐味と思います。

ピッたと上手くはまれば、今までなしえなかった、個々の豆が持つテロワールを引き出すことが出来ます。

模索を繰り返して出てきた結果、浅煎りの最適解は、投入から7分で豆の表面温度が167℃になり、かつその時点から4分後に191~2℃に至ることでした。

その1分後(12分)に豆の表面温度が197℃前後に至れば、中煎りとして最適なポイントになります。

そして、2分後(13分)202℃前後、3分後(14分)に207℃前後、、、といったように1分間に5℃上昇させることによって、中煎り以降の最適なロースティングポイントを見つけることが出来ます。

では、1分間に5℃上昇であれば2分30秒(13分30秒)で204.5度はどうでしょうか?

これはうって変わったように、フラットでレスクリーンになります。3分30秒(14分30秒)で209.5℃も同じで、カップはよくなりません。

どうやら進化のサイクルがあるようで、ベストなロースティングポイントから徐々にカップが悪くなり、そしてべストポイントから1分後に再びカップがよくなるといったサイクルがあるようです。

ベストポイントのときはブライトでストラクチャリでクリーンですが、それを過ぎるとブライト感が後退していき、フラットでレスクリーンになってきます。

ちょうどベストポイントから30秒後がこのピークにあるようで、再び改善しながら1分後のベストポイントに至るわけです。

(ライト、シナモン、ミディアム、、といったローストの段階を細かく分けた従来の方法は、カップからまったく意味をなさないと、ご理解いただけると思います。)

これを僕はデベロップメントサイクルといっていますが、あくまでも1分に5度上昇ペースが条件で、上昇ペースがこれより高かったり低かったりするとこのサイクルは成立しません。

偶然に13分で202℃前後で終了して、最適なカップが出てきても、1分後に7度上昇14分で209℃であれば、カップは良くなりません。

焙煎が捉えどころのない迷路のようなものになってしまう、後半最大の原因がここにあります。

 

2017/03/11

読者からのメール Ⅱ

前回からは、焙煎後半の成分進化・デベロップメントの段階に入りましたが、またまた、脱線します。

以前から、“ダンパー操作”のご質問が多くあります。

なんかいいタイミングがあったら、ブログで総括したいと思っていましたが、低温焙煎においては、デベロップメントの段階でとても重要な操作になりますので取り上げました。

おそらく多くの方が気づかない盲点だと思います。

ダンパー操作自体は複雑に考えすぎると、焙煎そのものをシンプルに捉えられなくなり、焙煎の迷路にはまり込んでしまいますので、要注意です。

焙煎をシンプルに捉えるためには、とりあえずダンパーは全開に固定して、豆の表面温度の進行ペースを、釜の内部温度とともに管理していくことがベストと思います。

おおむね、業務用の焙煎機は排気能力と火力のバランスはある程度考慮されているからです。

この作業を積み重ねて行くと、ダンパーと火力の相関関係が見えてきます。
 
----- Original Message -----
To: hdfsw452@ybb.ne.jp               
Date: 2017/3/1, Wed 15:57
Subject: ご質問です。
            
山本様

はじめまして○○と申します。
いつもブログを拝見させていただいております。
わたくしはフジローヤル改103(直火)で焙煎しております。

特に山本様の「低温短時間焙煎」は大変興味深く、いつも楽しみに読ませていただいています。

今回ふと気になったことがありましたのでメールさせて戴きました。

焙煎機はフジローヤル105だと思いますが、焙煎中のダンパー操作について一切書かれておりませんので気になりました。

巷では排気はニュートラルを追いかけ開いていく派。
しかもニュートラルはホッパー口で調べる派、スプーン口で調べる派

水抜きは負圧で、ロースト時は正圧、ハゼたら負圧といった方法

水抜き時はダンパーを閉めて内圧をかける方法

ダ ンパーは触らず一定派、、、、、等

ダンパーに関しては色々な考えの方がいます。

ダンパーに関して山本様のお考えを聞かせていただければ幸いです。

ブログ「焙煎日記」更新楽しみにしております。
 
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○○さん

メールありがとうございます。
ダンパーのご質問ですが、同じような質問が何件か来ています。

ダンパーを考えすぎると複雑になりすぎて、焙煎をシンプルに捉えなくなります。
焙煎は豆の表面温度の進行をきっちりと管理する、というごくシンプルな作業と捉えてください。

豆の表面温度の進行をコントロールするためには、釜の内部温度を管理する必要があります。

そして、この内部温度の管理は火力とともにダンパー操作からも影響をうけます。

火力の強弱とダンパー位置で内部温度は変化するからです。

最初の水抜き工程は負圧のほうが水が 抜けてくれると思います。

熱風式の優位はこの工程にあるわけですから、その理屈はお分かりいただけると思います。

抜く力が強ければ、それに応じて火力を調節して、釜の内部温度を管理して、豆の表面温度の進行ペースをコントロールしていきます。

負荷の強弱に対して、火力の強弱で釜の内部温度を管理するということが、ドラム式の焙煎の真骨頂だということがお解りいただけると思います。

そして、水が抜けたら、デベロップメントを完成させるため、釜の内部温度を上げていかなければなりません。

一定時間内に、釜の内部温度を素早く上げるためには、通常の業務用の焙煎機では火力が不足するため、バーナーの増設をしてそれに対応しました。

この時、負圧が大きければ、それに比例する、より強力な火力の補強が必要なことはお分かりいただけると思います。

しかし、実は火力がある一定の限界を超えると“表面焼け”のカップが出てきます。これはひどいカップになります。アフターが悪化して、フレバーも引っ込んでしまいます。表面焼けによるマスキングです。

これを防ぐための方策は、表面焼けを招く前のぎりぎりの火力を把握して、後はダンパーを負圧から閉じていき、釜の内部温度を上げるしかありません。

一番効率よく上げるダンパー位置では、ニュートラルか圧力が若干かかっているかはよく分かりませんが、全開の時より驚くほど内部温度が上昇してくれます。

純」熱風式の焙煎機であれば、多くの場合、マスキングが起こってしまう可能性があります。

ここにダンパー操作の真骨頂があり、低温焙煎においてはドラム式のほうが断然優れていることがお解りいただけると思います。

その後、釜の内部温度が十分に上がったら、、、ということはファーストクラックを迎えるころになり、排煙の問題から、ダンパーを開放(負圧)しなけばなりません。
 
                          サードウェーブコーヒー   山本敦則

2017/03/02

デベロップメント(成分進化)の実相

1月中はホームページ公開の最終作業が忙しく、ブログが更新できなかったことをお詫び申し上げます。

また、HP制作会社との連絡で、このブログを活用したことも重ねてお詫び申し上げます。

公開したものの、アメリカを中心としたスペシャルティコーヒーの遍歴や低温焙煎メソッド、美味しい珈琲の淹れ方などはまだ途中で完成していません。

低温焙煎メソッドのコーナーでは、希望する方の低温短時間焙煎導入のお手伝いをして、焙煎機の構造から、バーナーの増設、そして低温短時間焙煎をトライした結果として、導入後と導入前のカップの変化を比較した詳細なレポートを報告したいと思っています。

ご希望の方はメールで申し込みください。

また、抽出のコーナーもドリップやプレスだけではなく、他の抽出器具も紹介したいと思っています。特に、エスプレッソを充実させていく予定です。

多くの方が参加するページを作ってまいりますので、投稿をお待ちしています。

日本全体のコーヒーのレベルアップに一助できればと思っています。

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さて、前回までは高温短時間焙煎と低温短時間焙煎を比較検討してきました。

[高温短時間焙煎と低温短時間焙煎 Ⅲ]で、最終工程の成分進化の詳細を検討することをお約束しましたが、この段階はいろんな変数が複雑に絡み合って、焙煎の最大の“謎”でもあります。

僕自身も整理がつかなくて、どう説明してよいか思案していました。

何回も書き直しては、読み返し、そして書き直し、、、を繰り返しても、後半の実態を上手く説明することが、なかなかできません。

それは、後半は後半で新たにをスタートをして、成分進化のペースを計測していくか?それとも従来どうりに投入からのペースだけを計測していけばよいか?の結論が出てこなかったためです。

???どういうことかと言いますと。

高温短時間焙煎も含めて通常の焙煎は、投入から豆の表面温度がどのくらいのペースで進行して、何分になったら何度でファーストクラックがきて、最後は投入から何分の時、何度で釜出しをするか?という、すべて投入時点からの時間進行で焙煎の進行管理をします。

(それが一番シンプルで、解りやすいからですが、もうひとつ重要な要素がありますが、後述します。)

低温短時間焙煎も同じアプローチでいってもよいのですが、水が抜けた時点で焙煎を前半と後半を明確に分けるため、水が抜けた時点から後半をスタートさせるほうが、より自然なアプローチのように思えます。

それは季節変動(気温・湿度)や豆の種類(標高の差・クロップの差)で水抜けのタイミングが微妙に違ってくるからです。

水抜けのタイミングが前後するということは、投入から水抜けまでの時間が前後するということで、それに応じて釜出しのタイミングも前後する、すなわちトータルの焙煎時間が変化することで、その方がより理想的な焙煎なのでは?と思ったからです。

ストップウオッチを2個用意して、1個はスタートからトータルの時間を計測し、もう1個は水抜けを確認して火力を一気に上げるときにスタートさせます。

たとえば、通常9分で水が抜けたら、火力を上げて、ストップウォッチをスタートさせ、2分後の11分で豆の表面温度が192℃にいるようにして、終了します。

この場合は、以前グラフで比較したように、高温短時間焙煎とピタっと釜出しの地点で一致します。

ところが、何らかの原因で、8分45秒で水抜けが確認できたら、この時点で一気に火力を上げストップウォッチをスタートさせます。

スタートからは上記の後半のペース、2分で192℃に収まるようにすると、トータルでは10分45秒の焙煎になります。9分15秒で水が抜ければ、トータル11分15秒の焙煎になるわけです。

水抜けが前後した分、トータルの焙煎時間は前後するわけです。

しかし、残念ながらこのアプローチはなぜかしっくりしません。

フレバーはそこそこに出てきますが、フラットでレスクリーンっぽく、どこかずれているような気がします。

要するに、ピタッとはまったカップが出てこないのです。

この“ピッタとはまった”カップは、高温短時間焙煎でよく経験された方もあると思いますが、焙煎の時間と温度の進行管理が、ピッタとはまったときに、抜けるような明るいクリーンと、ストラクチャリのカップが突如として現れます。

ですから高温短時間焙煎においては、この焙煎の時間と温度の進行管理を、まずもって重要なアプローチとします。

前回のプロバットによる焙煎も、豆の種類や投入量の差を、細心の注意をはらって、いつもと同じラインをトレースすることに腐心していました。

これらのことから、高温短時間焙煎の核心はこのピッタとはまる焙煎プロファイルを特定して、どんな条件下(投入量、豆の硬度、室温・湿度、etc.)であっても、そのラインを上手くトレースすることです。

そして、ここからが重要で、低温短時間焙煎は低温焙煎のアプローチを短時間焙煎に圧縮して取り込むことによって完結したわけですから、あくまで短時間焙煎の範疇にあって、その制約は拭い去ることができない宿命のようなもののようです。

ということは、投入から釜出し迄の全体の焙煎プロファイル、投入から11分で豆の表面温度が192℃前後、12分で197℃前後、、、と決まっていると解釈したほうが良いようです。

焙煎時間が前後することは、高温短時間焙煎がブレてしまうことと同じで、まさにピタッとはまらないのです。

じゃあ、8分45秒で水抜けを確認できたらどうするか?

この場合は、従来どうり間髪を入れずにすぐに火力を上げ、投入から11分で豆の表面温度が192℃になるようにコントロールします。

9分15秒の場合も、すぐに火力を上げて、投入から11分で豆の表面温度が192℃になるようにコントロールします。

水抜けのタイミングが違っていても、投入から釜出し迄の時間と豆の表面温度を一緒にさせることがカップを安定させることになるようです。

しかし、現実にはこの9分を基準として+-15秒の差はとてつもなく大きな差で、後半のデベロップメントの核心が垣間見えてきます。

基本の9分で水抜けの場合でも、2分で豆の表面温度を192℃にもっていくにはかなりの火力が必要で、通常の焙煎機の場合、バーナーの増設が必要になります。

水抜けが8分45秒の場合は、基本の9分で水抜けの場合より、15秒も早く火力を上げることができるため、バーナーの増設とあいまって、余裕をもって11分までに192℃まで持っていけます。

ところが、9分15秒で水が抜けた場合は、残り1分45秒で豆の表面温度を192℃にもっていかなければならず、原則9分のバーナー増設でも難しく、さらなる増設が必要になります。

この場合、ある一定以上の火力になると、強引な火力ゆえにカップが急に悪化しますから、
投入量の減量で対応せざるをえません。

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以上のように、低温短時間焙煎はあくまでも短時間焙煎の範疇にあり、後半の成分進化・デベロップメントは短時間焙煎と同じラインを描かなければなりません。

水抜けが遅くなればなるほど、後半のデベロップメントの時間は決まっていますから、よりタイトな時間内にデベロップさせなければなりません。

かつて恩師が、「水抜きはできるだけ奥の方が良い、しかし奥過ぎるとデベロップが不足する。」といっていた意味は、まさにこのことを意味しています。

タイトな時間内に釜の内部温度を上げて、豆の表面温度を引き上げるわけですから、数秒でも早く火力を上げたいのですが、水抜けを待たなければならないというジレンマがいつも付きまとうことになります

このジレンマを解決するには、水抜けを早く完了させればよいわけですが、これは焙煎機の能力に大きく依存しているため、その能力内で最善を尽くすには、投入量を減らすことで対応をせざるを得ないという現実がお解りいただけると思います。

優秀な純熱風型の焙煎機であれば、8分30秒以前に水抜けが可能と思いますが、純熱風型は低温焙煎を採用した場合、後半のデベロップメントにおいては欠点が出てきますので、ドラム型の焙煎機で水抜けを工夫(投入用の減量)するか、あるいは前半を純熱風、後半をドラム式といった併用できる焙煎機を考案すれば、理想的な焙煎ができると思います。

次回は、成分進化の進行法則・デベロップメントサイクルの謎に迫ってみたいと思います。

2016/12/05

ニュークロップ対応の焙煎プロファイル

前回までは通常の短時間焙煎と低温短時間焙煎の比較検討をしてきました。

今回は、スペシャルティコーヒーロースターとして頑張っている、友人の短時間焙煎の焙煎プロファイルをご紹介いたします。

焙煎機はプロバットの旧L22型で、少量焙煎を実行しています。

コスタリカとグアテマラの焙煎プロファイルを提供してくださいました。

「l21_graph.xlsx」をダウンロード

Photo_2















ご存知のように、スペシャルティコーヒーロースターを目指す場合は、ニュークロップの焙煎対応が必須となります。

ニュークロップといっても、バリバリの入荷したての生豆から、収穫から約1年を経過して、次の入荷待ちまでの生豆と、さまざまな生豆が在庫に混在しています。

それらの生豆の状況を掌握して、焙煎ペースがぶれないようにコントロールしなければいけません。

特に入荷したてのニュークロップは要注意です。

不用意に投入しようものなら、あっという間に焙煎が進行して、気がついたときには修正が不可能な状況になってしまった、という経験をされた方も多いと思います。

含水量が多いのだから、その分時間がかかるとイメージしがちですが、実際はその逆でモイスチャ「水分」の熱伝導が良いことと、硬くしまった肉質が蒸れにくいため、進行は早くなるようです。

進行が早くなってしまったときのカップは、アフターやマウスフィールが刺激的となり、レスクリーンになります。

また、含水量が多いのなら、焙煎時間を長めにすればよいのでは?と思いますが、従来より時間をかけたときのカップは、明るさが薄れ、暗いトーンになりがちです。アフターに雑味が残り、マウスフィールが悪化します。

以上のカップの結果から、ニュークロップであっても、細心の注意を払って、従来の進行ペースをトレースしなければなりません。

そのためには、投入時の釜の内部温度(排気温度)と、豆の表面温度(空だきのセンサー温度)を従来より低くして投入することで、豆の表面温度のボトムを従来よりやや低い温度にもっていきます。

どのくらいの下げ幅にするかは、試行錯誤するしかありません。有能なローストマスターは経験知から、その数値を的確に導き出せます。

また、このニュークロップが数か月経過し、特に夏季の高温多湿での劣化が重なると、いつものようにボトムがうまく取れても、進行が後手にまわって、正確に従来のペースをトレースできない事例が出てきます。

この場合の原因は、ボトムから反転上昇するころから豆が蒸れはじめ、蒸気の放出によって豆の表面温度の上昇が鈍くなるからです。

特に低地産が多いブラジルはこの事例が顕著で、夏季に麻袋の1/3程度に残ったブラジルは注意が必要です。

この場合は、ボトムを若干高くして、釜の内部温度を従来より不必要に上げずに、従来のペースをトレースできるようにします。
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友人の店には、世界中の産地からトップオブトップやスペシャルティ、そしてCOEのロットが常時入荷していてます。

彼の多くの焙煎プロファイルからもその状況が読み取れてきます。

細心の注意をはらって、投入時の豆の表面温度のセンサー温度と、排気温度を設定しています。

ただ、今回公開して頂いたコスタリカとグアテマラの投入温度の差は、クロップの差や豆質の差だけではなく、投入量の違いから大きな差があります。

おそらく、コスタリカが5Kでグアテマラが10Kと思われます。投入量の少いないコスタリカのほうが低い温度で投入をしています。

そうすることによって、豆の表面温度のボトムを同じラインにきれいに乗せています。

(参考に、以前の富士ローヤルの5Kg釜のスマトラの短時間焙煎と比較したグラフを個々に表示します。)

Photo

Photoおよそ11分ころにはコスタリカもグアテマラも、スマトラと同じ豆の表面温度になっています。

そして、これ以降はスマトラと同じラインをトレースしていけば、中煎り~深煎りのペースになります。

11分以前ですと、同じ表面温度では1分~1分半ほど、長くかかっていますが、これはおそらく、フルフレバーローストの浅煎りが180度台後半のため、少し長く時間を取って、成分の進化を十分にしたと思われます。

何度も焙煎とカッピングを繰り返して、このラインが導き出されているわけです。

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さて、ここで焙煎をある程度経験された方なら、投入から9分までのスマトラとグアテマラ・コスタリカの釜の内部温度(排気温度)の差が気になると思います。

コスタリカ・グアテマラ・スマトラとも豆の表面温度の進行がさほど差がなくても(途中で少し差が出てきますが、11分ごろには差がなくなってきます。)、なぜプロバットのほうが低い内部温度であるか?という疑問です。

スマトラは富士ローヤルの5Kg釜に2Kgを投入しています。

それに対して、グアテマラ・コスタリカはプロバットの22Kg釜にそれぞれ10Kg・5Kgを投入しています。

メーカーの釜の公称容量はシリンダー容量から算出されていると思いますが、とりあえず、公称容量に対する豆の投入率から、スマトラ(投入率40%)とそれに近いほうのグアテマラ(投入率45.4%)を比較してみます。

驚くべきことは、両者の投入温度(豆の表面温度センサーと排気温度)がほぼ同じで、かつ両者の豆の表面温度のボトムが同じでも、排気温度のボトムがプロバットのほうが断然低いことです。(また、プロバットのほうが投入率が高いので、なおさらのことです。)

これは、釜の保温力の差が原因であると思われます。

実際にプロバットL22と富士ローヤルの5Kを見比べただけで、保温力の差は歴然ですし、釜本体やシリンダーの材質(鋳物)の違いもあるのでしょう。

ドラム式の焙煎機で、鋳物製のプロバットがいまだに人気があるのは、この排気温度が低くても、豆の表面温度はしっかりと進行してくれる構造にあると思います。

また、シリンダーとガスバーナーの外側に鉄板で囲い込むようにフードが設置されていて、外気がバーナーの炎を通過しなければ、シリンダー内に取り込まれないように工夫されています。

また、シリンダーの鉄板からの輻射熱を避けるために、シリンダー外側にもう一枚鉄板がまかれていて、2重の構造になっています。

これらのことも、低い温度でも安定して、焙煎を進行させることが出来る構造になっています。

このプロバットの特性は、まさに低温短時間焙煎に最適な焙煎機であると思いますが、成分進化の段階でどのくらい釜の温度が上昇してくれるかが未知数です。

投入量を減量するか、あるいはバーナーを増設をするかで、低温短時間焙煎を試みれば劇的に品質は向上すると推測できます。

実際にチャレンジされた方のご報告をお待ちしています。

2016/11/19

高温短時間焙煎と低温短時間焙煎 Ⅲ

前回は、通常の(高温)短時間焙煎と低温短時間焙煎をグラフで示し、前半の工程(水抜き工程)を比較検討しました。

このグラフによって、通常の短時間焙煎の欠点、すなわち風味特性を強調すればするほど、アフターやマウスフィールがいびつになるという欠点を、低温短時間焙煎がどのようにして改善しているか?を、大まかに理解していただけたかと思います。

その要点は、

●水抜けが完了するまで、釜の内部温度を上昇させずに一定の温度(180℃以下)を保つ。

●そして、あくまでも短時間焙煎を維持する(焙煎の大原則)ために、7分で豆の表面温度が167度に至るよう進行管理をする。          

でした。

この矛盾する要点(低温と短時間)を上手くまとめ上げるには、投入時点における十分な釜の余熱の確保と、投入量のバランス(思い切った減量)がポイントでした。

*************************************

Photo

今回からは後半の工程、すなわち成分進化の工程を比較検討しますが、上記の特徴から低温焙煎の欠点がもろにこの工程で表れてきます。

焙煎後半の8~10分ころにおいて、通常の短時間焙煎に比べ、釜の内部温度や豆の表面温度が相対的に低くて、成分の進化が十分になされないからです。

具体的には通常の短時間焙煎では、8~9分で釜の内部温度は200℃以上に至っていますが、低温短時間焙煎では依然として180℃以下に保たれています。

全体としての水抜けを最優先するために、低温短時間焙煎は水抜けを確認するまでは、釜の内部温度を引き上げることができませんので、結果としてどうしても後手に回ってしまうことになるわけです。

(成分進化を優先させて、水抜けが確認できなくても、釜の内部温度を早く引き上げていけば、それなりの成分進化の結果が出てきますが、やはりアフターやマウスフィールの領域で欠点が出てきます。通常の短時間焙煎と変わらなくなってしまうわけです。)

どの時点で釜の内部温度が何度に至っていれば、そしてどのくらいの時間を経過すれば、成分の進化は適正に進化するか?という焙煎後半の核心はやはりカッピングによって突き詰めていくしかありません。

ひょっとすると、低温短時間焙煎では遅すぎて(温度が低すぎて)、成分進化は結局無理かも知れないといった不安は、過去いつもつきまといました。

しかし、水抜けを確認してから、できるだけ早く釜の内部温度を引き上げることができれば、低温短時間焙煎の場合でも、適正な成分進化は可能であることが確認できてきます。

グラフから分かりますように、水が抜けて一気に火力を上げて、ほぼ1分以内に180℃以下から230℃にまでに、釜の内部温度を上昇させれば、後手に回った成分進化をとり戻すことが出来ます。

両焙煎とも投入から7分の時点で、豆の表面温度が167度で経過しますが、その後は、低温焙煎が釜の内部温度を上げずに一定にするため、じわりじわりと温度差が開いていきます。

そして8分40秒前後で、低温焙煎が水抜けを確認して、釜の内部温度をひきあげる時点では、豆の表面温度差は10度以上開いています。

この時点から、一気に釜の内部温度を引き上げて、1分以内の9分40秒前後までに釜の内部温度が230度に至れば、後手にまわった成分進化はとりもどすことが出来る、、、という結果をカップから得られます。

グラフを見て頂ければ、釜の内部温度の急激な引き上げに伴って、豆の表面温度も上昇ペースを速めていくのがお解りいただけると思います。

投入から10分経過の時点では、両焙煎の豆の表面温度差は約6℃までに縮小して、11分の時点では、ほぼ差はなくなります。

(以前にご紹介しましたAGFの匠焙煎における2段目の上昇カーブがこれに当たります。)

この11分の時点が浅煎りのポイントで、豆の表面温度が192℃前後に至ります。

このことから、焙煎時間の経過と豆の表面温度が成分進化に直接関与していると思われます。

そして、それを左右するのは、釜の内部温度であるわけです。

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このわずかな1分内の出来事で、焙煎後半の成分進化の良否のピンポイントが隠されています。

そのピンポイントは

*水抜けの判断が遅れて、釜の内部温度の引き上げが後手にまわった場合や、水抜けの判断が速すぎて、釜の内部温度の引き上げが速すぎた場合にどうカップは変化するか?


*できるだけ早く釜の内部温度を上げるには、釜の内部温度が1分以内に230℃に上昇に上昇すればよいが、それ以上の、例えば240℃であったらカップはどう変化するか?


*今回はスマトラであったわけで、豆の種類によって、230℃の引き上げが、豆の表面温度の進行がどう変化するか?そしてカップはどうか?

といった意図的な操作の繰り返しと、カッピングの繰り返しの検証から特定できてきます。

このところを今後詳しく検証していきます。

«高温短時間焙煎と低温短時間焙煎 Ⅱ

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